腎結石は、辛い痛みを伴う病気で、日本人でも悩んでいる人が多くいます。自分自身は、「石持ち」でなくとも、お友達や同僚で、痛みのために、寝込んだり仕事を休んだりする人がいるというひとがほとんどではないでしょうか。
シアトルの調査チームが、大規模な調査を行った結果、軽い運動をするだけで、女性の腎結石のリスクを最大3分の1もカットできるという結果がAmerican Urological Association(アメリカ泌尿器学会)の年次総会で報告されました。
アメリカでは、人口の9%にあたる人が、人生のうち一度は腎結石を患うと言われています。男女比では、以前は男性に多い傾向がありましたが、ここ15年ほどで女性が腎結石と診断される割合が急速に増えているそうです。
この増加には、肥満の増加が関連すると見られています。また、閉経に伴い、骨粗しょう症の予防のために摂る、サプリメントからカルシウムが蓄積することも影響の一つです。
今回発表された調査では、50歳以上で、結石にかかったことがない8万5千人の女性が対象となっています。調査期間は8年間。年ごとに食事内容や運動内容と結石の関係を分析しました。
食事では、水分摂取量が多いことや、塩分、肉の摂取が少ないことは、結石のリスクを下げることで知られているため、こういったことが食事内容に反映されているかを中心的に観察しています。
また、エクササイズについても調査しました。例えば、1週間の運動量として、2時間30分のウォーキング、4時間のガーデニング、1時間のジョギングは同じくらいのレベルと解釈し、これを10METsという単位に換算しました。
8年間で結石があった人は、対象者の3%でした。週に5METsの運動を行っていた人では、結石リスクは16%減、5-10METsで22%減、10METs以上では31%減となりました。また、これ以上運動量を増やしても結石リスクの減少は見られないことが分かりました。
では、なぜ結石の予防に運動が効果的なのでしょうか? 体液が循環することで、石ができにくくなる、運動によって汗をかくことで塩分が排出され、カルシウムが骨から流れ出すのを防ぐなどといったメカニズムが働くと考えられています。また、運動後には自然に水分を摂取するため、これも結石予防に役立っていると考えられます。
10METsで考えると、ウォーキングなら1日30分以内という手軽さ。これなら、バス停一つ分歩いたり、ちょっと回り道したりするだけでも達成できます。体重や体型を改善する運動量は無理!という人も、結石予防の運動量なら難なく取り入れられそうですね。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
American Urological Association Annual Meeting (論文要約あり)
http://www.aua2013.org/abstracts/archive/
Study: Exercise cuts kidney stone risk in women
http://www.ledger-enquirer.com/2013/05/03/2488877/