メタボリックシンドローム診断基準委員会が、メタボリックという言葉を紹介したのは2005年。メタボという言葉は、今や知らない人はいないと言ってよいほど定着しています。
かつて、減量は見た目を気にして行う人が多く見られていましたが、メタボは、心臓血管系の病気や、糖尿病のリスクを高くすることが理解されるにつれ、健康管理の一貫として減量や運動に取り組む人が増えてきました。
今回カナダで発表された調査で、通常の医療的介入に加えて、自然療法医が長期的に生活指導やカウンセリングを行うことで、メタボが改善できる率がぐっと上がったと報告されています。
対象は、25歳から65歳のトロントの郵便局員で、メタボ気味で心臓血管系の病気にかかるリスクが上昇し、かかりつけのお医者さんから治療や指導を受けている人たちです。
調査開始の時点で、それまで受けてきたかかりつけ医の介入のみを続ける人たちを、通常ケアグループとし、自然療法医の介入を加える自然療法グループと比較したときに、10年後に心臓血管系の病気にかかるリスクと、メタボリックシンドロームに発展するリスクについて分析しました。
自然療法グループでは、健康増進のためのカウンセリング(栄養や運動を元に、3-5キロ程度の減量を目標にしたもの)、サプリ(オメガ3、コエンザイムQ10、可溶性食物繊維)をなどを取り入れました。
評価のためのデータは、体重、ウエストサイズ、血中脂肪、空腹時血糖、血圧などで、1年間の調査期間で3回の測定が行われています。
このようにして、207人のデータの分析が行われました。2グループ間でのベースラインでのデータはほぼ同じような状態でした。
その結果、自然療法の介入を受けた人たちでは、通常の治療を受けた人たちよりも、10年後に心臓血管系の病気にかかるリスクが3.07%減少し、7.74%となっていました。また、10年後のメタボリックシンドロームと診断される頻度予測は通常治療グループで48.48%だったのに対し、自然療法グループでは31.58%と約17%も低くなることが分かったのです。
体に元々備わっている、健康の維持・増進の力を利用した自然療法。専門家の指導を受けながら、日常生活に取り入れると、メタボリックシンドロームの予防に役立てることができるようです。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Naturopathic medicine for the prevention of cardiovascular disease: a randomized clinical trial
http://www.cmaj.ca/content/early/2013/04/29/
Metabolic Syndrome Patients Could Benefit With Care From Naturopathic Doctors
http://www.huffingtonpost.com/2013/04/29/