小さな赤ちゃんを見ていると、いったい何を考えているのか不思議に思うことはありませんか?赤ちゃんの脳はどのくらいの時期から大人と同じような働きをするようになるのでしょう。
数十年前から、人間の脳の働きに関する研究が盛んになり、大人の脳の働きについては多くが解明されてきましたが、赤ちゃんがどのくらいの時期から大人と同じ脳の働きを持つようになるのかは謎のままでした。
大人の場合、何か動くものが視界に入ると、脳の中の視覚を司る部分が活動を開始します。この働きは、動くものがあることを、あなたが認識しないほどの早さであっても機能するのです。そして、ものが動いているものが、視界に一定の時間で残っていると脳内の信号は前頭前皮質に送られます。この時点で、あなたはようやく、動くものを目にしたことを認識するのです。
脳内の電気的信号を観察すると、視界に動くものが入ったときは、鋭い棘として記録され、前頭前皮質に到達したときには、遅れて波形の形が記録されます。所要時間は約300ミリ秒とされています。
フランスの研究チームでは、5ヶ月、12ヶ月、15ヶ月の赤ちゃん240人に、この電気的刺激を記録できるような帽子をかぶってもらって、人の顔を描いた絵を見てもらいました。分析できるようなデータが残った赤ちゃんは80人。その結果12ヶ月、15ヶ月の赤ちゃんたちは、時間が750ミリ秒ほどかかるものの、大人とほぼ同じような脳の働きをしていることが分かりました。
そして、このような働きは、5ヶ月の赤ちゃんでも、見られていました。1歳の赤ちゃんたちよりも、時間も900ミリ秒と更に長くかかり、記録された形もはっきりしないものも見られたものの、5ヶ月ではすでに脳が目にしたものを認識する機能が発達してきていると判断されました。研究家によると、この働きはおそらく2ヶ月頃から作られはじめているのではないかと言うことです。
2ヶ月というとちょうど、ものを目で追うことができるようになってくる時期。赤ちゃんはこの頃から「見た!」ということが分かるようになってくるのですね。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
A Neural Marker of Perceptual Consciousness in Infants
http://www.sciencemag.org/content/340/6130/376.short
Babies show signs of memory as young as 5 months
http://azstarnet.com/news/science/