睡眠状態を全自動判定
独立行政法人理化学研究所は4月25日、脳波と筋電図を用いて睡眠覚醒状態を全自動で判定できる「FASTER(ファスター)法」を開発し、マウスを用いてその性能を実証したと発表した。
人間の生活に欠かすことの出来ない「睡眠」だが、そのメカニズムは未だ解明されていない部分が多い。
この研究では睡眠状態なのか覚醒しているのかを全自動で判定する手法を開発し、マウスを使った実験で睡眠状態を90%の正解率で判定することに成功した。
(画像はイメージ)
動物を用いた大規模睡眠研究も
研究者らのグループは、従来の睡眠判定法の問題点を抽出し、①睡眠判定のアルゴリズムに人間の主観が入る②睡眠と覚醒の境界線が特定しにくい③睡眠判定にモデルをあらかじめ規定している④脳波の特徴抽出に特定の周波数を用いている、といった点を解決することで「FASTER法」の開発に成功した。
判定基準を各個体間で固定することで主観を極力排除し、一定時間内の脳波と筋電図のデータの特徴を定量化、それをもとにグループに分けそれぞれの特徴から睡眠判定することで睡眠と覚醒の間の境界線を特定しやすくした。
睡眠判定に人間が介入しないことで客観性が高まる睡眠判定が可能になっただけでなく、特別なモデルを必要としない分類をおこない、未知のデータ分布を示す個体や系統であっても睡眠判定が可能になった。
これまで睡眠状態の判定には人間の目視による確認が不可欠だったことから、コンピューターを用いた全自動化には至っていなかったが、「FASTER法」により動物を用いた睡眠研究がより大規模で定量的に行えるようになる。
さらに、これまで約1~2時間要していた解析時間を10分に短縮することが可能になり、今後は特定周波数帯域の脳波だけ人間を対象とした高精度の全自動睡眠判定を行うことが期待できる。(五十嵐園子)
▼外部リンク
理化学研究所│報道発表資料
http://www.riken.jp/