弱視のうちでも、片方の視力が低い場合、反対の目に眼帯をつけて強制的に片目を鍛える方法が用いられていましたが、特に子どもでは、眼帯着用がストレスとなること、そして近年様々なメカニズムが解明されてきたことなどから、眼帯着用が唯一の方法ではなくなってきていました。
そんななか、子どもも楽しんで行える、弱視の治療法に関する報告がカナダから発表されました。しかも、誰もが知っているコンピュータゲーム、テトリスを使うというのですから驚きです。
(画像 ; Wikiコモンズより)
テトリスは、落ちてくるブロックを動かして、積み上げていくゲーム。今回発表された治療法では、片側の目では「ブロックが落ちてくる様子だけが見える」、反対の目では「ブロックが積み上げられる様子だけが見える」ように作られています。
18人の参加者(成人)のうち、9人はこの眼鏡をかけて、残りの9人は眼鏡をかけた上で片方の目をふさいで、1日30分間、2週間にわたってテトリスで遊んでもらいました。すると、眼鏡をかけて両目でテトリスをしたグループで、弱視の改善度がより高くなりました。
確認のために、片目をふさいでいたグループの人たちに、その後両目でテトリスをしてもらうと、このグループでも片目の時よりも改善度がぐっと高くなったのです。
今回の調査では成人を対象としていましたが、研究チームでは、弱視は子どものうちに治療を行った方が治療効果が高いことは以前から立証されており、この方法が子どもにも適応できることが分かれば、眼帯を用いる方法で問題となっていたストレスを、「遊ぶ楽しさ」に転換できる可能性もあるとしています。
コンピューターゲームは目に悪いという印象がありましたが、それどころか目の治療に役立てられるのですね。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Dichoptic training enables the adult amblyopic brain to learn
http://www.cell.com/current-biology/