太っている人は、おおらかで明るいという印象を持ったことはありませんか?英語圏でも”Jolly Fat”という表現で表されるこの現象、実際のところはどうなのでしょうか?
実はこの疑問、古くは1970年代から研究が行われているんです。1976年に発表されている論文では、339人の男性と400人の女性を対象に、不安やうつと体型の関連性を調べたところ、肥満女性では不安のレベルが低く、肥満男性ではうつのレベルが低いという結果が出ています。
けれども2000年以降の調査では、肥満体型の人では、不安やうつを訴える傾向が高いというものも見られます。
最近のものでは、60歳以上の2017人に精神健康状態を自己評価してもらったものがあります。白人、黒人、ヒスパニック系、アジア系など様々な人種を対象としています。
あなたのメンタルヘルスを評価すると、何点ですか?
という質問をして、心理状況とBMIの関係を調べました。
すると、人種による、自己の精神健康状態の点数には違いが見られましたが、BMIとの直接的な関連性は見られませんでした。けれども、人種や民族性とBMIとの関連は見られていました。
例えば白人層では、BMIが高くなると精神健康状態の自己評価得点が低くなります。ところが、黒人ではBMIが高くなると友に精神健康状態の自己評価得点が高くなるのです。とはいえ、ヒスパニック系とアジア系ではこのような、目立った関連性は見られませんでした。
Jolly fatは、真実というわけではなさそうです。その人が生活する時代や文化圏で肥満がどのように捉えられているかによって、心にも様々な影響を及ぼす可能性がある、というのが現在の見方となっているようです。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Jolly fat: relation between obesity and psychoneurosis in general population.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1638245/
Association of obesity with anxiety, depression and emotional well-being: a community survey.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14705308
The Relation Between Body Mass Index and Self-Rated Mental Health Among Older Adults
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/