腎性貧血患者に朗報
香川大学と京都大学の研究チームはiPS細胞(人工多能性幹細胞)から赤血球の生成に必要なホルモン「エリスロポエチン」を生み出す細胞を作り出すことに成功した。重い貧血を抱える腎臓病患者には新たな治療法の可能性につながる。
(Wikiコモンズを利用)
このホルモンは主に腎臓で作られ、骨髄に働きかけて赤血球の生成を促す。透析患者のように腎臓に障害があると、エリスロポエチンが足りなくなって重い貧血となる。現在、血液透析患者は約30万人、その8割以上に市販のエリスロポエチンを投与する貧血治療を行っているが、年間900億円の治療費がかかる。そのうえ患者の一部には拒絶反応が出て効果が薄い。
エリスロポエチンを生み出す細胞に分化
iPS細胞をエリスロポエチンを生み出す細胞に分化させるために約200種類以上の化合物、タンパク質を調べた結果、特定の化合物とタンパク質でiPS細胞を刺激することに成功。エリスロポエチンを生む細胞が生成できた。この細胞からエリスロポエチンを取り出し、健康な状態の血液量の3分の2しかない腎不全のマウスに投与したところ、貧血がほぼ改善した。また市販薬より少量の投与で強い効果が得られた。
研究チームの香川大・人見浩史助教は臨床医として透析患者と向き合う内に多くの患者を助けようと考え、研究の道に進んだ。
既存薬は高価なため、必要量を投与できない患者も多い。こうした患者さんの大きな助けになる(産経ニュースより抜粋)
と述べている。
▼外部リンク
香川大学
http://www.kagawa-u.ac.jp/topics/education/ips/
産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/region/news/130424/kgw13042402150001-n1.htm