国境なき医師団(MSF)からの訴え
世界ワクチン首脳会議(The Global Vaccine Summit)は世界予防接種週間に合わせ、アブダビで今月24日より開催された。国境なき医師団(MSF)は新ワクチンの価格が高額であり、開発途上国での子どもたちへの予防接種が困難であると提言。GAVIアライアンス(ワクチン予防接種世界同盟)と製薬企業にワクチンの価格を下げるよう呼びかけている。
(Wikiメディアより引用)
高額すぎる2種のワクチン
2001年時点では子ども一人当たりの予防接種にかかる費用は1.37米ドル(約137円)であったが、現在は38.80米ドル(約3870円)までに上昇。2001年の予防接種パッケージが6つの病気を対象としていたのに対し、現在は11種類のワクチンが含まれているが、中でも肺炎球菌とロタウイルスに対する2種のワクチンが高額で費用総額の75%を占めている。はしかワクチンが一人当たり0.250.25米ドル(約25円)で、肺炎球菌ワクチンは最低でも21米ドル(約2100円)と比べものにならないほどの価格だ。
企業利益よりも子どもたちの命を優先
MSFはGAVIアライアンスと製薬会社に対し交渉をしてきたが、未だに実現していない。製造コストが不透明なままであり、低所得国が負担しやすい価格設定をすることよりも、企業の利益を優先させる姿勢が問題の根底にある。GAVIアライアンスは「5価ワクチン」の価格引き下げを決めたが、今後は製薬会社がこの高額なワクチン2種の価格交渉の場に立つことと、GAVIアライアンスがそれを進めることが求められている。
この他にもMSFは、NGOや人道援助団体がGAVIアライアンスによって下げられた安い価格でワクチンを購入する権利を与えられていないこと問題についても問題視している。
高額なワクチン2種を製造販売しているのはファイザー社、グラクソ・スミスクライン社、メルク社のみ。今後の善意ある対応が期待される。(堀尾美樹)
▼外部リンク
国境なき医師団(MSF)日本 プレスリリース
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000093.000004782.html