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神奈川県薬剤師会、神奈川の「まちかど相談薬局」、在宅薬剤管理8割が届け出

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2013年04月26日 AM10:00


■介護側は薬剤師の参加要望

神奈川県内の「」の8割が在宅患者訪問薬剤管理指導の届け出を行っており、4割以上が介護保険の居宅療養管理指導料を算定していた。県内の訪問介護事業所では、利用者の8割が薬剤を服用し、担当ヘルパーの1割が薬剤師による訪問指導が必要と感じている。また、症例は少ないが訪問薬剤管理指導の結果、飲み残し薬剤の金額が大きく減少し、糖尿病患者では空腹時血糖、HbA1cともに低下していた。厚生労働省の2012年度老人保健事業推進等事業の「薬剤師の居宅療養に対する服薬支援の向上および効率化のための調査研究事業」()で明らかになった。

高齢者の多くは何らかの疾患に罹患し、在宅療養を受けている患者も服薬上の問題を抱えていることが少なくない。そのため経済的な面も含め薬剤師による在宅支援へ期待する声がある。ただ、実際の薬剤師による関わりは必ずしも進んでいないのが現状。

同調査研究事業では、神奈川県下の薬局、訪問介護事業所を対象に、[1]外来・在宅患者の服薬管理の必要性に関する実態調査[2]薬剤師の居宅療養に対する服薬支援の向上および効率化のためのモデル事業[3]モデル事業による効果を保険薬局、訪問介護事業所を対象にしたアンケート調査で効果計測――の分析を行った。

12年4~12月までの間、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定した在宅患者のうち、初回訪問時に薬剤管理上の問題があると判断された状況として、「複数の医療機関からの薬剤の重複投与」(9・5%)が最も多く、次いで「服用している薬剤への理解不足」(9・4%)、「患者宅における薬剤の保管上の問題」(7・7%)などが挙がっている。

訪問介護事業所(有効回答事業所数447件)が薬剤師へ要望することとしては、「くすりについて説明を受ける機会を作ってほしい」(58・5%)が最も多く、次いで「医師から処方されたくすりを配達してほしい」(51・9%)、「サービス担当者会議に出席してほしい」(38・9%)などと続く。

担当者会議では薬剤師に説明してほしいこととして、▽副作用発見の仕方について(74・7%)▽くすりと食事の関係(64・2%)▽褥瘡や消毒に使う処置薬の管理(31・8%)――などを求めていた。

■飲み忘れ薬剤の大幅減も‐残薬確認などで疑義照会

また、モデル地区(神奈川県横浜市南区、小田原市湯河原地区、長野県上田市)で、在宅患者訪問薬剤管理指導料(または「居宅」)の算定をしている在宅患者198人(回答薬局数7軒)の状況についてまとめている。

初回訪問時に発見された薬剤管理上の問題点としては、「薬剤の保管状況」(73・7%)が最も多く、次いで「薬剤の飲み忘れ」(44・4%)、「薬剤の重複」(40・9%)などと続く。

また、飲み残されていた薬剤(発見直前1カ月に処方されたもののうち)は平均金額で7889円(n=12)で、これは処方された薬剤の約28%に相当する。

13年2月1カ月間での訪問薬剤管理指導の実施状況は、「2回」(72・2%)が最も多く、次いで「1回」(24・7%)となっている。指導の1回当たり時間は平均63分(n=197)で、このうち移動時間は平均30分となっている。

モデル地区で実施された研修会以後に、患者に関する疑義照会を「実施した」は43・4%となり、照会内容は「残薬による処方日数調整の確認」が最も多く74・4%となっている。

訪問開始からの取り組み効果として「改善」割合が最も高かったのは、▽薬剤保管状況(72・2%)▽飲み忘れ(49・5%)▽副作用の発生(49・0%)――などだった。

初回訪問と直近での飲み忘れ薬剤(発見直前1カ月に処方されたもののうち)について検討した。比較可能だった8人の患者について見ると、飲み残された薬剤金額は初回時の平均1万0925円に対し、直近の訪問時には1138円と大きく減少していた。

さらに、糖尿病患者について12年12月と直近の検査値を検討した。比較可能だったのは9人の患者で、空腹時血糖は平均224・0mg/dL、HbA1c(NGSP)が平均7・1%だったのが、それぞれ181・1mg/dL、6・9%と共に低下した。

患者の処方医以外の連絡先は、「ケアマネージャー」(91・9%)が最も多く、次いで「ホームへルパー」(53・5%)となっている。また、ホームヘルパーと連携した患者106人では、ホームヘルパーへのアドバイス内容として「副作用の発見の確認」(95・3%)が最も多く、「薬剤の飲みやすさの確認」(55・7%)と続いた。これはヘルパーがサービス担当者会議で、薬剤師に最も説明してほしいとする「副作用発見の仕方」と合致していた。

表:訪問介護の利用者の服薬状況(2012年12月)
表:薬剤師への要望

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