腰椎椎間板ヘルニアの治療剤
生化学工業株式会社が腰椎椎間板ヘルニアを適応症とするSI-6603 (一般名コンドリアーゼ)の米国における第Ⅲ相臨床試験を開始した。
(この画像はイメージです)
腰椎椎間板ヘルニアは椎間板の中心にある髄核や外側にある線維輪の一部が突出するために、脊椎周辺の神経が圧迫されて痛みやしびれを引き起こす。米国では人口の1%にあたる約300万人が罹患していると言われ、特に20代から40代の男性に多いと推定される。根治する薬品はまだ開発されていない。
治療剤SI-6603とは
治療剤SI-6603は注射薬で、髄核の構成成分、グリコサミノグリカン(GAG)を特異的に分解する酵素コンドリアーゼを使用している。椎間板内への直接投与によってGAGを分解して髄核を縮小させるから、神経への圧迫を減少させる効果がある。一方で、タンパク質は分解しないので、血管や神経などの周辺組織に影響しないと考えられる。
さらに1回の投与で手術と同程度まで症状を改善でき、患者の身体的な負担を軽減すると同時に、手術費・入院費など医療費の節減も望める。同剤は腰椎椎間板ヘルニア治療に新たな選択肢を提供すると期待される。
なお、すでに日本での第Ⅲ相臨床試験は症例登録が完了している。生化学工業は日本および米国での早期の承認取得に向けて、同剤の開発を推進する予定だ。(馬野鈴草)
▼外部リンク
生化学工業株式会社
http://www.seikagaku.co.jp/