分からないことがあって、電話で問い合わせをしたときに「担当部署が異なるので、こちらではご回答できません。○○におつなぎします。」という対応を受けたことがありませんか?担当があるって、時に不便だなあと思うひとコマです。
最近では、マルチタスクという言葉も定着し、様々な種類のことを柔軟性をもって、効率よく行うことに価値が見いだされています。
さて、私たちの脳には、エリアごとに司る機能があるということは、広く知られています。ところが、脳は「担当が違うので…」という対応は、起こらないこともあるのを知っていましたか?
4月21日に、専門誌Nature Neuroscienceに掲載された論文では、この、脳の担当エリアについてが述べられています。この論文では、「何かを探す」という働きを行うときの脳の様子を、MRIなどの画像診断を用いて調査した結果を報告しています。
例えば、人混みに紛れてしまった子どもを探すとき、小銭がたくさん入った小銭入れの中から100円玉を見つけたいとき、一時的に通常は「目でモノを探す」「目でモノを見分ける」以外の機能を受け持っている脳の部分が、何かを見つけるのに必要な作業を補い、作業効率を上げることが分かったのです。
そして、探しているモノが見つかると、一時的にヘルプをしていた脳の部分は、本来受け持っている担当に戻るのだそうです。
なかなか、柔軟性のある脳の働き。これまで「脳は場所ごとに決まった働きがあって……」と記憶していた私には、脳が実はマルチタスクに働いているとは、目からウロコのお話でした。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Lost your keys? Your cat? The brain can rapidly mobilize a search party
http://newscenter.berkeley.edu/
Attention during natural vision warps semantic representation across the human brain
http://www.nature.com/neuro/journal/vaop/