臨床現場で定量分析が可能に
ウシオ電機株式会社が血清フェリチンの定量分析が可能な血液分析装置の「ポイントリーダー」と専用試薬の「ポイントストリップフェリチン」の製品化に成功、販売を開始した。これで臨床現場でも血清フェリチンが簡便、迅速に測定できるようになる。
フェリチンは鉄を貯蔵するタンパク質。体内の貯蔵鉄の量で血清フェリチンは増減する。これを定量分析することで、鉄欠乏性貧血、鉄過剰症、白血病、C型慢性肝炎における瀉血治療前などの診断、病態把握を行う。
血清フェリチンを測定する自動分析装置は高額で大型のため、測定が可能な施設・機関は限られる。外部に委託すると結果が出るまでに数日を要し緊急性の高いケースに対応できない問題があった。
不可能を可能にしたイムノクロマト法
毛細管現象を応用した免疫測定法にイムノクロマト法がある。検体中の抗原が抗体と合わさり発色することで、物質内の抗原の有無を判定するが、定量精度が低いのでインフルエンザ、妊娠、アレルギー検査での定性分析に限られていた。
ポイントリーダーはイムノクロマト法の採用で装置の小型化、分析時間の短縮化、操作・メンテナンスの簡便化を実現した。イムノクロマト法は温度依存性があるが、温度の変化が測定値に影響しない構造にした。さらに光学技術とアルゴリズムによる解析で分析能力を向上させた。これで大型自動分析装置にそん色ない性能をもつ卓上タイプの血液分析装置が完成、診療所や医院など臨床現場でも簡便・迅速な検査を行えることになった。
血液分析装置と専用試薬の使い分けでさまざまな分析に対応する。ウシオは本格的に光診断分野に参入、今後は医療現場のニーズに応じて専用試薬(内臓疾患系、心筋系など)を順次販売する予定だ。(馬野鈴草)
▼外部リンク
ウシオ電機株式会社
http://www.ushio.co.jp/