睡眠は、内分泌系の機能の調整や、血糖値の調節に重要な役目を果たしていることを、耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。
1990年代から、先進国では特に、睡眠時間の減少が目立ってきています。寝る間を惜しんで働いたり遊んだりすることが、もはや当たり前になりつつあるのです。
睡眠時間の減少と時を同じくして、社会問題として現れてきたのが、肥満とⅡ型糖尿病です。このため、睡眠不足と、肥満や糖尿病には関連があると見られるようになりました。
実験的に睡眠時間を短くすると、ホルモンのバランスが崩れます。食事をして、脂肪分が脂肪細胞に吸収されはじめると、レプチンというホルモンが、「お腹がいっぱい」という信号を出します。睡眠が短いと、このレプチンが減少します。さらに、胃から分泌され「お腹が空いた」という信号を送るペプチドホルモンのグレリンの分泌が増加するのです。
つまり、お腹が空いたという情報は出されるのに、お腹がいっぱいという情報が送られない状態。想像するに、いかにも食べ過ぎてしまいそうな状況です。
このようなことから、忙しい現代での恒常的な睡眠不足傾向と、増加をたどる肥満や糖尿病の罹患数は、決して偶然の一致ではないと考えている科学者が多くいるようです。
睡眠不足と、痩せにくい悩みに心当たりがある人は、食生活の見直しに合わせて寝不足解消も図ってみてはいかがでしょうか。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Metabolic consequences of sleep and sleep loss.
http://europepmc.org/abstract/MED/18929315
Impact of sleep and sleep loss on neuroendocrine and metabolic function.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17308390