JAMA Ophthalmologyオンライン版に掲載された論文によると、欧米でこれまで関節炎に用いられてきた薬が、ドライアイに効果を発揮することが分かったそうです。
ドライアイはパソコンなどの普及により、一般化してきた目の症状。スクリーンを見つめているうちに瞬きが減少することなどが原因とされています。例えば、アメリカでは推定900万人の人が、重度のドライアイにかかっているとみられています。軽度の症状を持っている人たちは当然これよりも多いとされており、すでに国民的問題です。
今回の報告では、これまでリウマチ性関節炎の治療に用いられてきた、インターロイキン受容体拮抗薬アナキンラ(Anakinra)という薬が、ドライアイの治療にも効果を発揮することを確認しました。
この薬により、炎症を引き起こすインターロイキンの産生が抑えられると共に、受容体アンタゴニストの産生を増やします。受容体と受容体アンタゴニストしっかり結びつけてしまうことで、インターロイキンが受容体セットになることができず、この結果悪さをするのを防ぐわけです。
実験は75人を対象に16週間にわたって行われました。人工涙液とアナキンラの点眼を比較すると、アナキンラを使った人で症状が改善しました。また、一部の人はアナキンラでの治療を12週で停止しましたが、この人たちではその後の4週間の間に症状が再度悪化したことから、アナキンラの効果が確認できました。
身近に使われていた関節炎の薬が、ドライアイに。この発見は、眼科治療の新しい時代の風を巻き起こしたと高く評価されています。
なお、アナキンラは日本では未承認となっています。(2013年4月現在)(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Topical Interleukin 1 Receptor Antagonist for Treatment of Dry Eye Disease
http://archopht.jamanetwork.com/
Topical Use of Arthritis Drug Provides Relief for Dry Eye Disease
http://www.wickedlocal.com/sudbury/