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厚生労働省、文部科学省、経済産業省、新対がん戦略へ議論開始―今夏メドに研究目標策定

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2013年04月17日 AM10:03

厚生労働、文部科学、経済産業の3省は15日、新たな癌研究戦略の策定に向け、具体的な目標を検討する有識者会議の初会合を開いた。2013年度で終了する「第3次対がん10カ年総合戦略」を受け、14年度から開始する新たな癌研究戦略の方向性を打ち出していく。座長には、国立がん研究センターの堀田知光理事長を選任した。有識者会議では、ヒアリングや論点整理を行った上で、今夏をメドに議論の取りまとめを行う予定だ。

わが国では、1984年から総合的な癌対策が策定され、04年にスタートした「第3次対がん10カ年総合戦略」が13年度で終了する。昨年6月には第2期「がん対策推進基本計画」が閣議決定され、14年度からの新たな癌研究戦略を策定することが求められていた中、厚労、文科、経産の3省が協力して有識者会議を設置し、第4次総合戦略を視野に入れた癌研究戦略を検討することにした。

初会合で政府を代表してあいさつに立った厚労省の矢島鉄也健康局長は、「癌対策基本法の施行を受け、相次いで施策を講じてきており、癌研究は重要な政策。政府全体で取り組まなければならない」と強調。成長戦略の議論と一体化して進めていく方針を示した。

■国民目線の戦略が必要‐ライフステージの視点も

この日の会議では、構成員から意見聴取を行い、それをもとに議論を行った。門田守人構成員(癌研究会有明病院院長)は、これまでの癌対策を踏まえ、国民目線から見た対策の必要性を指摘した。国民が癌対策を最重要課題と認識するよう、開始時期が異なる対がん10カ年戦略と基本法の期間を同調させることを提案。「国民に癌対策の重要性を理解してもらうために、次期戦略を策定するタイミングで基本法と対がん10カ年戦略の期間を一本化し、政府の姿勢を社会に示すことが必要」と訴えた。

また堀田座長は、団塊世代が75歳以上となる30年をピークに“癌多死時代”が到来するとし、新たな癌研究の総合戦略には、より社会的な視点が必要と指摘。特にライフステージの視点が重要とし、「ライフステージをきちんと踏まえた研究を行っていくべき」と提言した。その中で、働き盛り世代に対する就労支援、地域での生活支援等、癌患者や家族を包括的に支援する体制の確立を提言し、社会復帰を見据えた対策が重要になるとした。

そのほか、臨床の立場から、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会、日本小児血液・がん学会が抗癌剤開発や高齢者癌医療等について意見を述べたほか、上谷律子構成員(日本食生活協会会長)からは、「癌予防の視点がない。健康づくりの観点から、食生活の問題も含めた予防のあり方を取り上げるべき」との指摘もあった。

今後、有識者会議は、5月上旬にかけてヒアリングと論点整理を行い、次期対がん10カ年戦略に向けたあるべき方向性と具体的な事項を示し、今夏をメドに取りまとめを行う方向だ。

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