メディカル・ボディ・エリア・ネットワークとは
富士通が国内初のメディカル・ボディ・エリア・ネットワーク(medical Body Area Network、mBAN)の実証実験を実施した。これは医療専用周波数帯(400MHz)を利用した無線通信で医療現場のケーブルレス化を実現したもの。
入院患者の心電、脳波、血圧、体温などのバイタルチェックには、通常はケーブル接続によって計測し、目視でカルテに転記をする。しかしmBANを利用すれば、各センサーから無線で情報を計測機に送ることができる。ケーブルレスが患者のストレスを緩和するうえに、介助の負担を軽減しケーブル配線上の危険やカルテへの転記ミスも回避される。つまり患者のQOL、医療の質とも向上すると考えられる。
mBANとは医療用途に特化した通信規格で、昨年2月にIEEEにて標準化が完了した。無線出力の低減化で通信可能エリアを3~5メートル程度に限定し、通信プロトコル上でもスリープモードなどによって低消費電力に抑えている。このため電池の長寿命化が可能となる。また国内外の医療専用周波数帯や汎用的なISMバンド(2.4GHz)にも対応する。
実証実験
今回の実験は総務省から受託した「400MHz帯医療用テレメーターの高度利用技術」の調査の一環で行い、mBANシステムの性能測定、データ通信の信頼性、安全性を検討した。
富士通クリニックの病室で患者役の体にmBANの試作無線機をとりつけ、装置の位置や被験者の体勢を変えていった。その結果、身体近傍での無線通信は可能と確認した。またそれぞれに独立した複数のmBANを利用する際にも安全な同時運用が行えた。
同社はmBANを次世代の医療現場における主流のネットワークと位置づけ、開発をさらに進めていく。(馬野鈴草)
▼外部リンク
富士通株式会社プレスリリース
http://pr.fujitsu.com/