新規の作用機序を有する非タキサン系微小管ダイナミクス阻害剤
4月10日発表によると、エーザイ株式会社(以下、エーザイ)は、第104回米国がん研究会議(以下、 AACR)にて、抗がん剤「ハラヴェン(R)」(一般名:エリブリンメシル酸塩、以下、エリブリン)の新たな作用機序として、エリブリンの転移抑制効果を示唆する、前臨床研究の成果を発表した。
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同剤は、新規の作用機序を有する非タキサン系微小管ダイナミクス阻害剤。微小管の短縮(脱重合)には影響を与えずに伸長(重合)のみを阻害、さらにチューブリン単量体を微小管形成に関与しない凝集体に変化させる。
AACRで発表した研究成果として、同社は、複数のがん細胞株を用いた遺伝子発現解析を実施、エリブリンが上皮間葉転換(以下、EMT)に関わる遺伝子群の発現を変動させることを確認した。
エリブリンの血液循環改善作用
別の研究成果として、ヒト乳がん細胞株を移植したマウス皮下移植モデルについて、ダイナミック造影MRI(以下、DCE-MRI)による解析で、エリブリンが腫瘍組織中心部の血液循環を改善することを確認した。
同研究結果は、エリブリンが腫瘍組織中心部の血液循環を改善することで低酸素状態を解除することを示唆している。がん細胞は低酸素状態の腫瘍組織中で高い転移能を獲得しているとの報告があるので、エリブリンが腫瘍組織中心部の低酸素状態を解除、転移抑制に働く可能性を期待している。(佐々木理恵)