■対策実施で民間に初の責務
特措法の施行を受け、政府は16日に有識者会議を開き、具体的な対策を示した行動計画の策定を急ぐ。特措法は、強毒性の新型インフルエンザが発生した場合に感染拡大を防ぎ、患者の急増を最小限に抑えることが狙い。
感染症対策の医療提供体制では、政令で定める指定公共機関に、製薬企業や薬剤師会等の医療関係団体を定める方向だ。具体的な案として、関係団体に日本薬剤師会、日本医薬品卸売業連合会、日本ワクチン産業協会、製薬企業等に化学及血清療法研究所、武田薬品、北里第一三共ワクチン、グラクソ・スミスクライン、塩野義製薬、中外製薬、第一三共、テルモ、ニプロなど、抗インフルエンザウイルス薬やワクチン、シリンジを製造している企業が挙がっている。
内閣官房によると、民間企業や団体が指定公共機関に定められるケースは前例がない。特措法では、国や地方公共団体と並び、製薬企業等が指定公共機関に指定された場合、新型インフルエンザ等の発生時に、その業務について対策を実施する責務を有しているとし、都道府県知事は、総合調整・指示権を行使できるほか、医薬品等の配送要請・指示を行うことができるとしている。ただ、強制ではないとし、「通常業務の範囲で対策を実施してもらいたい」(新型インフルエンザ等対策室)としている。
また、新型インフルエンザの拡大を防ぐためには、医療関係者の協力が重要とし、行動計画に特定接種の対象業種を盛り込む。
薬局薬剤師等は、特定接種の対象となることを想定していることから、特措法では、指定公共機関でない薬局等についても、業務を継続する責務を果たすことを求める。
ただ、中国で発生したH7N9型の鳥インフルエンザは、「感染症法等に基づく医療で対応」(厚労省)するとの位置づけ。感染症法では、H5N1型以外の鳥インフルエンザは「4類感染症」に指定している。H7N9型については、今後評価を行うとしており、基本的にヒトからヒトへの持続的発生を念頭に置いた特措法の対象とはなっていない。