体内時計が制御する分子
産業技術総合研究所は体内時計に制御される分子C/EBPαをマウスの肝臓で発見した。体内時計が肝臓のグリコーゲン貯蔵や脂質代謝制御に関連する可能性がある。
メタボリックシンドロームは食生活の西洋化で摂取カロリーが増加したことが原因と考えられているが、最近の研究でそれだけでは説明がつかないとわかってきた。生活の夜型化による生活リズムの乱れが新たな原因として注目されている。
同研究所はこれまでにマウスの体内時計遺伝子を見出して、肝臓の脂質や糖の代謝に大きな影響を与えること、時計タンパク質が一日のリズムに合わせてグリコーゲン合成酵素を発現させることを明らかにしている。
今回の研究では肝臓で糖・脂質代謝の中核的な役割を担う鍵分子C/EBPαが存在することをつきとめた。さらにC/EBPαの遺伝子配列を調べると、時計遺伝子がタンパク質の生産を促進してC/EBPαの発現を制御していた。
体内時計は規則正しい生活で正常に
時計遺伝子が正常に機能すればC/EBPαも正常に機能する。体内時計は朝の光でリセットする。規則正しい生活なら体内時計は正常なリズムを保ち、肝臓などの臓器も正常に働く。
体内時計が狂うとコントロールされている代謝遺伝子も正常に機能しない。夜間はエネルギーを蓄積するように代謝が働くため、夜間に食事をとると、体内時計の変調が代謝に影響して太りやすくなる。つまりC/EBPαが正常に機能しないと、メタボリックシンドロームや肝硬変などの影響を与えると考えられる。(馬野鈴草)
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産業技術総合研究所
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