低出生率に嘆く国が増えている一方で、10代の望まない妊娠は世界のあちこちで問題視されています。
10代の避妊方法として、IUDはこれまではリスクがあると考えられていましたが、今回Obstetrics & Gynecologyに発表された報告で、大人に比較して特にリスクが高くないことが明らかになりました。
IUDについては、1970年代に粗悪品が回収されたことがあり、以後30年以上にわたって、危険なものと誤解をされる部分もありましたが、この30年の間に安全かつ効果的なものに進化しています。
調査では、およそ9万件のIUD使用者が、何らかの副作用などを経験したかどうかを追跡しています。このデータを更に、年齢とIUDのタイプごとに分析しました。
画像; Wikiコモンズより。
これまで、IUDの副作用として最も心配されていた、子宮外妊娠と、骨盤内炎症は年齢層にかかわらず1%未満と非常に低い確率であることが分かりました。
全体的に見て、銅タイプよりもホルモンタイプの方が、トラブルが少ない傾向にありました。
10代の利用者では、生理痛がひどかったり、月経が止まってしまったり、避妊に性交せず妊娠するという報告が大人より多く見られましたが、使用をすぐに停止した人たちの割合も特に変わりませんでした。このことから、本人が自覚して使用を断念するようなひどい副作用は見られていなかったと解釈されました。
IUDは、ピルなどのように意識的に避妊を行ったり、コンドームのように男性側の協力を求めたりする必要も無いため、10代の望まない妊娠の減少のためにも取り入れる価値があると結論づけられました。これまで、10代の妊娠については、避妊ではなく妊娠する行為を避けるようにという風潮がありましたが、多様化する社会で必要に駆られて下された判断と言えるでしょう。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Complications and Continuation of Intrauterine Device Use Among Commercially Insured Teenagers
http://journals.lww.com/greenjournal/Abstract/publishahead/
Debunking a Myth: IUDs Proven Safe Birth Control for Teenagers
http://www.healthcanal.com/pregnancy-childbirth/