膵がんとは
膵がんは、消化器がんの中で、最も予後不良で、日本のがんにおける死因としては、男性では第5位、女性では第6位で、60歳以上の男性にやや多い傾向があるといわれている。 予後不良の原因は、後腹膜臓器であるために早期発見が困難であり、極めて悪性度が高く、2cm以下の小さながんであっても、すぐに周囲への浸潤や、近くのリンパ節への転移、肝臓などへの遠隔転移を伴いやすい。膵がんは、十二指腸への膵管から発生したがんが90%以上で、ランゲルハンス島から発生するのは稀である。
(画像はウィキメディアより)
TS-1臨床第3相試験
大鵬薬品は、国内で実施された進行膵がんを対象としたTS-1臨床第3相試験の結果を発表した。本試験は、日本と台湾の国際共同試験であり、切除不能進行再発膵がん患者834例を対象として、ゲムシタビン単剤投与群、TS-1単剤投与群と、TS-1とゲムシタビン併用投与群の3つの群に割り付け、全生存期間を主要評価項目とした、多施設共同ランダム化比較試験である。834例の患者が無作為化に割り付けられ、ゲムシタビン群277例、TS-1群280例、TS-1とゲムシタビン併用群で277例であった。
試験の結果、全生存期間において、TS-1とゲムシタビンの併用投与群(中央値10.1ヵ月)がゲムシタビン群よりも優れていることは統計的に認められなかったが(HR=0.88, p=0.15)、TS-1群(中央値9.7ヵ月)はゲムシタビン群(中央値8.8ヵ月)に対して優れていることが示された(HR=0.96, p<0.001)。
TS-1は、胃がんの治療薬として開発され、標準治療薬となっている。日本では、他に結腸・直腸癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、手術不能又は再発乳癌、膵癌、胆道癌の追加効能をすでに取得している。(堤朝子)
▼外部リンク
大鵬薬品 ニュースリリース 2013年4月3日
http://www.taiho.co.jp/2013/20130403.html