■電子データ収集の効率化図る
医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、10月からEDCを利用した治験、製造販売後臨床試験等の適合性調査を本格化する。新たに「EDC管理シート」を導入し、製薬企業が症例報告書(CRF)の項目を電子的に収集する業務プロセスの効率化を図る。これまでPMDAは、チェックリストを用いて試行的に適合性調査を実施してきたが、EDC利用事例の増加を受け、新たにEDC管理シートを導入することで本格化に乗り出す。
PMDAは、これまでEDCを利用した治験等の申請資料を確認するため、「EDC調査チェックリスト」によって試行的に適合性調査を実施してきた。最近、治験や製販後臨床試験、使用成績調査のデータ収集にEDCを利用する製薬企業が増加しており、1品目ごとの適合性調査では重複する部分も多いことが分かってきた。
そのため、EDC調査チェックリストを見直し、電子的なデータ収集の業務プロセスを効率的に確認するため、新たにEDC管理シートを導入することにした。
製薬企業が作成したEDC管理シートをもとに、GCP、GPSPの適合性調査を実施することで効率化を図る。
新たに導入するEDC管理シートは、EDCを利用した治験等について、データの品質確保に向けた業務プロセスの概要を記載するもの。EDC調査チェックリストに比べて、変更箇所が分かりやすくなっているのが特徴で、製薬企業等の治験依頼者は、標準様式を参考にして作成する。
EDC管理シートは運用手順シート、使用実績シート等から構成されている。運用手順シートには、治験等で利用したEDCシステムの概要や業務委託の状況、手順書の名称、手順の概略、治験等の実施中に発生したシステムの不具合や運用手順の不遵守等の情報を記載する。また、使用実績シートには、EDCシステムを利用して実施した治験等における利用状況の概要、業務委託契約等を記載することを求めている。
記載に当たっては、EDC管理シートを活用した初回の適合性調査の対象となる申請資料に含まれる治験等から開始し、2回目以降は変更があった項目のみ追記すればよいとしている。
また、EDC管理シートは、適合性調査のみならず、システムや手順の変更時等に、随時更新、管理することによって、治験依頼者の自己点検ツールとして活用できるため、こうした活用も検討するよう呼びかけている。
EDC管理シートを用いた治験等の適合性調査は、10月1日以降に実施されるものから適用となる。今後PMDAは、パイロット的に実施してきたEDCに関する適合性調査を本格化させていく方針だ。