家のような環境を
小児がんの子どもが家族と一緒に生活しながら治療できる施設「チャイルド・ケモ・ハウス」が神戸・ポートアイランドに完成、29日に竣工式を行った。
患者の家族と医療関係者でつくる同名のNPO法人が構想に8年をかけ昨年5月に着工した。建設費約7億円は日本歯科医師会などからの寄付、運営費は一般からの寄付でまかなう。
小児がんの治療は半年以上の長期入院が必要になることが多い。家族に会えない子どもにはストレスが、付き添う家族には負担が大きい。このような状況から「家のような環境」をコンセプトに、家族と暮らしながら抗がん剤治療を受けられる施設が全国で初めて作られた。
治療を行うクリニックと生活できる滞在施設が併設、全19室の個室は風呂・トイレ・台所を備えている。別々の玄関に互いに見えない工夫の窓、脚が低く角のないベッド、空が見える天窓と配慮が行き届いている。
目指す患児と家族へのサポート
診療所は5月開業、滞在施設は2013年度中のオープンを目指している。症状が安定しているときは診療所で化学療法をし、専門的な治療や緊急時の対応は近隣の病院と連携する。
チャイルド・ケモ・ハウスは今後、入院経験のある子どもや家族の意見を取り入れたアメニティの向上、治療時の心身をサポートする専門人材の育成に取り組む。また全国に同様の施設を設立してすべての小児がんの子どものために環境づくりをしていきたいと考えている。完成記念のシンポジウムと見学会を4月27日に行う。(馬野鈴草)
▼外部リンク
チャイルド・ケモ・ハウス
http://www.kemohouse.jp/