■10薬局が参加
共同研究は、日本大学薬学部の亀井美和子教授を責任者に、茨城県薬剤師会笠間支部の10薬局、禁煙外来を積極的に行っている茨城県立中央病院、友部セントラルクリニック等の医療機関が参加して実施する。プロトコルで医療機関と薬局の役割を明確にし、禁煙補助薬の副作用症状が出た場合、薬剤師がOTC薬の服用や禁煙補助薬の減量を行うことができる取り決めをした。
プロトコルに従い、禁煙治療を地域連携によって進め、継続率や成功率を評価する。目標症例数は50例。4月から開始し、1年間にわたって実施する。禁煙治療は、標準的な診断、治療法が確立され、OTC薬だけでも治療可能であることから、薬局薬剤師が実践するCDTMに適していると判断した。
具体的な禁煙治療サポートは、まず禁煙治療の希望者について、薬局に設置した「スモーカライザー」で一酸化炭素濃度を測定してもらうと共に、初回質問票への記入を依頼。研究参加の同意を得た人について、喫煙本数が1日40本以上の場合等、受診が必要な「医療機関管理群」と、OTC薬で対応可能な「薬局管理群」に振り分ける。予め研究の進め方を定めた禁煙サポートマニュアルを用い、医療機関管理の対象者には、処方箋に基づく調剤と服薬指導を行い、服薬期間中に症状悪化や副作用の発現がないか確認し、適切な措置を指示する。
一方、薬局管理対象者には、OTCの禁煙補助薬で治療支援を開始。初回診察後、タバコの離脱症状が強く出る禁煙開始日から3~10日目、2週間後、4週間後、8週間後、12週間後の6回にわたって面談や電話で指導する。24週間後にも電話で患者の禁煙状況を聞き取り、継続率を確認していく。
禁煙は、開始後2週間継続すれば7~8割は成功とされており、最もつらい時期の3~10日目に薬剤師が介入することで、禁煙成功に向けた効果をより高めたい考えだ。
共同研究に参加するフローラ薬局の篠原久仁子さんは、「初回診察後、2週間後の再診までは薬剤師だけが介入できる。この期間が最も重要」と話す。特に薬局管理群では、薬剤師だけが扱える第1類のニコチンパッチを使うことができる。
再診までの2週間に第1類のニコチンパッチを用い、喫煙衝動への対処法をアドバイスしたり、副作用の確認等を行うだけでなく、地域で禁煙の啓発活動を進め、薬局でのスモーカライザーによる一酸化炭素濃度測定を促していく。まさに禁煙CDTMの共同研究は、地域医療の中で薬局薬剤師が果たすべき役割が凝縮されたものとなる。
篠原さんは「薬剤師が実践するCDTMの考え方で重要なのは、医師との役割分担と連携によって、きちんと処方の修正、提案を行い、有効かつ安全で合理的な薬物治療ができるということ。これは薬剤師法で認められた調剤権の拡大解釈でできるし、それこそが本質的な医薬分業の精神」との考えを強調。日本版CDTMの実践は、薬局薬剤師の生き残りをかけたテーマとし、「本当の意味で医薬分業を量から質へと転換していくべき」と訴えている。