骨折予防には、カルシウム。ビタミンDと一緒に取ったら効果的、と考えていませんか?ところが、アメリカでは骨折の既往がある、骨粗しょう症の診断をされた、転倒のリスクがある高齢者など一部の人以外では、安易にカルシウムとビタミンDでの骨折予防を行うべきではないという見解が、Annals of Internal Medicineに掲載されました。
調査によると、アメリカでは、60歳以上の女性の56%がビタミンDのサプリを、60%がカルシウムのサプリを取っているそうです。とはいえ、健康な人に対して、これらのサプリを用いることの意義は男性でも女性でも認められていません。
カルシウム+ビタミンDの骨折予防の効果は、まだエビデンスに欠ける部分がある上、両者とも取り過ぎによる健康へのリスクがあります。カルシウムのサプリには結石のリスクという副作用もあるからです。
また、近年になって、カルシウムが心機能にマイナスの影響を及ぼすことに注目が集まってきており、今後カルシウムと心機能の関係も調査されていくとみられています。
ビタミンDは、名前こそ「ビタミン」ですが、その作用はむしろホルモンとして認識されている物質です。このため、過剰摂取では、がんなどのリスクが心配されます。
手軽に摂取できる、カルシウム+ビタミンD。骨に良い、という印象を持っている人が多いものですが、現状ではすべての人に安全性が保証されているサプリではありません。安易に摂取せず、医療機関で本当に自分にとって必要なサプリメントであるかどうかを見極めてもらうべきでしょう。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
To Supplement or Not to Supplement: The U.S. Preventive Services Task Force Recommendations on Calcium and Vitamin D
http://annals.org/article.aspx?articleid=1655860