脳梗塞患者への移植療法において治験を開始すると発表
札幌医大が脳梗塞患者への細胞移植療法について、治験を開始すると発表した。札幌医大病院神経再生医療科教授である本望修氏は、2013年3月21日から東京で行われている第38回日本脳卒中学会総会のシンポジウム「脳梗塞治療の進化:細胞移植療法―現状と展望―」で講演を行った。その中でアテローム血栓性脳梗塞患者に対して自家培養の細胞を投与するという細胞移植療法の治験を開始したことの報告を行った。
本望氏はこれまでにも、脳梗塞患者から採取した骨髄間葉系幹細胞を培養してそれを移植するというような細胞療法の研究を行っていた。今回は、その110例を対象として医師の主導により二重盲検無作為化比較試験を実施。その結果で安全性と有効性両方を確認する。
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治験へ参加をしてほしいと訴え
試験の対象となるのは、初めてアテローム血栓性脳梗塞になり、発症から40日以内の患者である。対象年齢は20歳以上で、65歳未満。日常生活指標であるModified Rankin Scaleでグレード4または5になり、発症してから20日後に札幌医大病院へ転院できるということが条件である。
まずは登録をした後、患者から骨髄液を採取し、取り出した骨髄間葉系幹細胞を約2週間培養する。そして患者は治療薬グループか、プラセボグループに分けられる。発症から60日目に自家培養骨髄間葉系幹細胞もしくはプラセボの静脈内投与を受ける。投与は単回で行い、30分から1時間程度かけて行う。主要評価の項目としては発症後150日目において、Modified Rankin Scaleが1段階以上改善した症例の割合を調べる。
本望氏は、「投与した骨髄間葉系幹細は内皮細胞やニューロン、アストロサイト、グリア細胞などに分けることによって、脳の保護や血管の新生、神経の再生などの効果を発揮することができると考えている。そのため被験者の条件に合致して、治験への参加希望者がいればぜひ紹介してほしい」と述べている。(福田絵美子)
▼外部リンク
札幌医科大学附属病院 治験センター
http://web.sapmed.ac.jp/chiken-stroke/