京大病院で追尾照射治療
三菱重工業は京都大学医学部附属病院で肝臓がんを対象に同社の追尾照射機能搭載の放射線治療装置Vero4DRT(販売名:線形加速器システムMHI-TM2000)による追尾治療を開始したことを発表した。Vero4DRTはこれまで肺がん治療に用いられているが、リアルタイムモニタリングでの追尾照射治療を肝臓がんに実施するのは国内で初めてとなる。
追尾照射機能付きVero4DRT
放射線治療はがん病巣に放射線を正確に照射すること、周辺の正常細胞への影響を最小限におさえることが重要となる。しかし、病巣は呼吸などで揺れ動くため、その動きを確認しながらの照射は困難だった。その点を克服するためにVero4DRTは開発され、病巣にピンポイントで連続照射するという精度の高い放射線照射ができるようになった。正常組織に及ぶ副作用をある程度回避するとともに、患者や医療スタッフにかかる負担も軽減している。
肝臓がんに追尾治療
臓器への放射線治療の場合、X線画像で患部の位置を特定しにくい症例、臓器に対して、患部やその近傍にマーカーを挿入して位置確認をするツール(体内留置マーカー)がある。今回、Vero4DRTが国内で承認された新しい体内留置マーカーに適用可能となったことで、肝臓への運用が実現した。病巣がとらえにくい肝臓がんに追尾治療は効果が高いと期待されている。同社は膵臓がんにもこの治療を展開していく考えだ。(馬野鈴草)
▼外部リンク
三菱重工業プレスリリース
http://www.mhi.co.jp/