循環器薬物療法学講座の客員教授には同院薬剤部長の{卉(上)+木(下)}原健氏が就き、客員准教授は特任副薬剤部長の和田恭一氏が務める。同院薬剤部出身で近畿大学薬学部臨床薬剤情報学教授の高田充隆氏が、同講座の教授を兼任する。
近畿大学薬学研究科薬学専攻博士課程(4年制)に進んだ大学院生が、臨床現場における研修や研究を1年以上、最長で4年間実施する拠点として外部講座を活用する。
この枠組みは2013年度から適用する。実際に、6年制教育を卒業し今春から進学する大学院生1人が、1年目は学内での基礎研究を行った上で、2年目以降は同院の外部講座に出向き、臨床研究に取り組む見通しだ。
臨床現場に身を置き、経験や知識が豊富な現場の薬剤師から指導を受けながら、臨床での課題解決につながる研究を行えることが特徴。具体的な臨床研究のテーマとしては、▽臓器移植患者における薬物療法▽抗不整脈薬などの血中濃度測定▽薬剤疫学――などが想定されている。
今回の協定について近畿大学薬学部長の村岡修氏は「6年制薬学教育の上の4年制大学院は、高度な薬剤師の養成を目指すもの。その養成には臨床現場の協力を仰ぐ必要がある。治療だけでなく高度な研究に取り組んでいる施設で一緒に研究を行い、教えていただけることは非常にありがたい。それによってリサーチマインドのある優れた薬剤師、薬学博士を養成できる」と語る。今後、可能であれば他の医療機関とも同様の連携関係を構築したい考えだ。
一方、同院薬剤部にとっても、この関係を生かして薬剤師の臨床研究を今まで以上に充実させたい狙いがある。また、基礎系教員との交流を深め、トランスレーショナルリサーチの推進につなげたい考えもある。
同院院長の内藤博昭氏は「大学との連携は非常に重要。医師の教育研究では様々な大学との連携を構築しているが、他の医療職についてはこれまで大学との連携が十分ではなかった。今回、薬学の博士課程の人材養成について連携を構築できることは、とても望ましい」と話している。