がん対策推進基本計画の見直し
2007年に策定された「がん対策推進基本計画」に基づいて、2008年度からがん診療連携拠点病院で行われている「緩和ケア研修会」について、現在見直しが検討されている。
3月11日に行われた厚生労働省の「緩和ケア推進検討会」で、委員の木澤義之氏(神戸大大学院先端緩和医療学分野特命教授)が、受講率に地域差が見られると報告。単位制を導入することや、研修医に対しての受講の義務化など、受講者を増加させるための見直し案を提示した。
現在は拠点病院には、がん診療に携わっている全ての医師を対象として、年1回以上研修会を開催するということが指定要件として求められている。「緩和ケア診療加算」や「がん性疼痛緩和指導管理料」などは、2010年の診療報酬改定で、研修会修了の医師が治療に携わることが算定要件に含まれた。そのため受講者数は増加。2012年9月時点で修了者数は3万6647人になっている。
その一方、受講率は都道府県によって開きがある。都道府県内でも、地域や拠点病院によっては受講率には差がある。その中には研修会を開いても受講者が一桁台ということもあり、運営の非効率性も考えられている。
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受講しやすい体制に改正を提案
こうした現状を受け、受講しやすい研修体制を整えるために、現行のカリキュラムを単位型に改めることを提案。またモチベーションにも配慮して、「研修医向け」「診療所医師向け」「腫瘍医向け」など、研修内容を変えられるようにする案も提示した。
さらに、研修医に対して研修会の受講を義務化、また運営を効率化するために、拠点病院が合同で研修会を開催できるようにするなどを提案した。
拠点病院の多くは、自施設の研修修了者数を正確に把握していないことが多い。厚労省は拠点病院に対して、自施設のがん診療に携わるすべての医師と緩和ケア研修修了者について、報告を求める案を提示した。また、新たに看護師を対象にした緩和ケア研修体制を行う予定もあることを発表した。(福田絵美子)
▼外部リンク
厚生労働省 がん対策推進基本計画
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/gan_keikaku.html