■見解まとめる
政府の規制改革会議は8日、一般用医薬品のインターネット販売について、半年以内に全面解禁を求める見解をまとめ発表した。安全性確保の仕組みを作ることも合わせ、早急に全ての一般薬をネット販売できるよう制度的枠組みを作ることを促す。記者会見した岡素之議長(住友商事相談役)は、「国民の選択肢を増やすことに重点を置き、厚生労働省の検討会に対して、それなりの影響力を与えたい」と意欲を示した。
同会議は、前回の会合で、一般薬のネット販売を早急に規制緩和に取り組むべき「最優先案件」と位置づけていた。今回まとめた見解では、一般薬のネット販売を解禁することにより、「店頭で購入できない消費者など、国民が自らの判断で選択肢を広げることができる環境を実現し、その利便性を高める」と選択肢を拡大するメリットを強調。一方で、ネットや店頭の販売形態にかかわらず、安全性を確保することが重要ともした。
その上で、現在、厚労省が設置した検討会の議論が進められているが、「今後の対応の方向性は必ずしも明らかになっていない」と指摘。インターネット等で全ての一般薬の販売を可能とする「全面解禁」を要求すると共に、それぞれの販売形態の特性等を踏まえ、適切に安全性を確保する仕組みを作ることも提言。これら制度的な枠組みを、半年以内に構築することを求めた。
今回の見解取りまとめについて岡氏は、「厚労省の検討会に対して、それなりの影響力を与えたい」と全面解禁の実現に意欲を示し、「今後、注意深く検討会の議論の状況を見ていきたい」と述べた。また、ネット販売に反対する自民党の議員連盟が7日、議員立法を目指す動きを表明したことについては、「規制改革会議で取り上げるテーマには、トレードオフの部分がある」とした上で、「われわれは国民の選択肢を増やすことに重点を置いており、この考え方を実現していきたい」との姿勢を示した。
この日の会合では、大田弘子議長代理(政策研究大学院大学教授)が厚労省に対し、海外でネット販売が危険と判断された事例があるかどうか資料の提示を求めた。これに対し、岡氏は「十分な回答が得られていない。引き続き厚労省に対し、もう少ししっかりした回答を求めていきたい」と述べた。
■健康分野の8項目決定‐最優先に再生医療等
一方、同会議は、健康・医療ワーキング・グループが取り上げる検討項目として8項目を決定した。特に優先度の高いものとして、▽保険外併用療養の範囲拡大を含む再生医療の推進▽承認業務の民間開放の推進など医療機器に関する規制改革の推進▽処方箋電子化の推進など医療のIT化推進▽一般健康食品の機能性表示の容認――を打ち出したほか、革新的医薬品の薬価算定ルールの見直し、医薬品に関する治験前臨床試験の有効活用も検討項目に挙げた。