受け入れ先が決まるのに約2時間
埼玉県久喜市で、救急要請をした患者の搬送先の病院が見つからず、その間に患者の容態が悪化し、搬送先の病院で死亡していたことが明らかになった。
この患者は75歳の一人暮らしの男性。2013年1月6日(日)午後11時25分頃、自ら119番をし、呼吸困難を訴えた。約5分後には救急隊が男性の自宅に到着したものの、搬送先の病院が見つからず、約2時間後の翌7日(月)午前1時半頃に、ようやく受け入れる事ができる病院が見つかった。この時の要請は37回目だった。
(この画像はイメージです)
コンビニ受診で疲弊する医療現場
毎日新聞によると、この男性は7日午前0時頃から心肺停止状態になっていた。そのため応援の隊員が駆け付け、心臓マッサージをしながら搬送先を探していたという。
埼玉県では、初期救急・第二次救急・第三次救急医療機関を重層的な医療体制として整備している。「第二次救急医療体制」では、第二次救急医療圏をもとに病院郡輪番制を取り入れ、「第三次救急医療体制」では、重症及び複数の診療科目領域にわたるすべての重篤な傷病者の医療に対応している。しかし、今回この体制はうまく機能しなかったと言える。
今回、管轄となった久喜地区消防組合消防本部によると、平成25年2月中の救急要請は605件。また、平成24年の救急搬送人員は7,358人となり、そのうち「中等症」は、2,811人、「軽症」は、3,663人となっている。
医療現場が疲弊する大きな一因となる「コンビニ受診」。気軽に夜間や休日に医療機関を利用しようとする人が減らない限り、このような不幸なケースはまた発生するのかも知れない。(吉沢実香)
▼外部リンク
埼玉県 傷病者の搬送及び受入れの実施に関する基準
http://www.pref.saitama.lg.jp/
久喜地区消防組合管内の救急車の出場状況
http://www.kukichiku-119.jp/kfd/qqkensu/qqkensu.html