子どものケア対応、人材確保に難
東日本大震災における岩手県の犠牲者は6000人以上に及ぶ。県は次年度を復興加速年ととらえ、地域全体の健康促進を進める。その一環として心のケアセンター(盛岡市)を対策拠点に心のケアに取り組むが、特に子どもへの対応を重視し「いわてこどもケアセンター」を5月に新設する。
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県では震災直後の2011年6月から8月までに宮古、釜石、気仙の3地域に「子どものこころのケアセンター」を設置して、県内外の医師の協力で被災地の子どものケアに週1回程度対応してきた。利用者は11年度が延べ287人、12年度は昨年12月までに同308人。相談内容は震災や環境の変化による不安や不眠、心因的な原因による頭痛、吐き気などの身体的症状を訴える例が大半。中長期的に取り組む必要があるが、県内には子どもの心のケアに携わる医師や医療機関が少なく、他県からの医療派遣を継続することは困難な状況だった。
岩手医大を拠点に人材育成も
そこで心のケアのノウハウがある岩手医科大に委託する形で同大マルチメディア教育研究棟内(矢巾町)に新たなセンターを開設することになった。常勤の児童精神科医、小児科医を2名と看護師を配置して診療、カウンセリングを行い、医師の確保、育成と小児科医、支援者の研修を実施する。さらに沿岸のセンターへの医師の派遣を継続させ沿岸の子どものケアを実施するほか、内陸部に避難している子どものケアにも当たる。診察室、心理療法室などの施設整備費1億3700万円にはクウェート政府から日本赤十字社に送られた救援金が活用される。運営費は県が予算を計上する。拠点センターの開設で人材が強化され安定的なケアにつながると期待されている。(馬野鈴草)
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