厚生労働省は5日、来年度事業や薬事行政の重要事項などを都道府県の担当者に説明する全国薬務関係主管課長会議を省内で開いた。医薬食品局総務課の田宮憲一課長補佐は、都道府県に依頼している一般薬の第1類、第2類のインターネット販売を行っている業者の実態調査について、「7日までに提出いただきたい」と関係者に協力を要請した。登録販売者試験で不正な実務経験証明書を発行していた問題をめぐっては、不正の実務経験証明を発行した業者に対して「実態に応じて改善命令等を含め、厳正な対処をするようお願いしたい」と呼びかけた(2面に関連記事)
会議の冒頭、あいさつした榮畑潤医薬食品局長は、「薬事行政の使命は、国民の生命と健康を大切に考え、医薬品・医療機器の安全性と有効性の確保に全力を尽くすことだと考えている」と強調。一般薬のネット販売をめぐる訴訟で、国が敗訴した最高裁判決を受けて発足した新たなルール作りを進める検討会について「今後も精力的に議論を進め、できるだけ早期に結論をいただき、必要な対応を進めていきたいと考えている」と述べた。
田宮氏は、1月の最高裁判決を受けて既に第1類、第2類のインターネット販売を開始した業者があることを踏まえ、「薬局・薬店が医薬品の販売を行う際、安全確保のための方策に十分配慮いただくことが重要」とする田村憲久厚労相の談話を紹介し、「新たなルールを早急に検討することとしているので、その間、関係者には慎重な対応をお願いしたい」と要請した。
また、1月17日には、現時点でのネット販売に関する厚労省のスタンスをQ&A形式で示した事務連絡を都道府県に発出したことを明らかにした。
Q&Aでは、裁判で勝訴したケンコーコムなど2社以外の事業者がネット販売を行った場合の対応について「原告以外の業者については、その権利は確認されていないが、判決の趣旨からすれば、それだけで薬事法違反を問うことは考えていない」と回答している。
登録販売者試験にかかる実務経験の不正証明への対応については、昨年11月30日付の通知で、▽昨年4月1日から受験申請書に添付させることとした勤務簿の写し等の確認による実務経験確認の徹底▽全事業者による実務経験証明の自主点検の実施――などを改めて要望しており、「協力をお願いしたい」とした。