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厚生労働省、文部科学省、iPS活用し難病研究―16年度に創薬候補化合物

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2013年03月04日 AM10:00

厚生労働省と文部科学省は、疾患特異的iPS細胞を活用した難病研究を共同でスタートさせる。厚労省の難病研究班と文科省が決めた4疾患分野の共同研究拠点が協力し、効率的にiPS細胞を医療機関に供給することで、難病治療への応用を加速させる。さらに製薬企業と連携し、創薬候補物質のスクリーニングも進める。基礎から実用化までの一貫研究体制を構築することにより、2016年度までに創薬の候補物質を見出したい考えだ。

■厚労省、文科省が共同実施

厚労省は、難病研究を厚生労働科学研究費の事業で推進してきた。ただ、iPS細胞を研究に活用するためには、iPS細胞の樹立や分化誘導に必要な技術、大量に調製する設備等のノウハウが必要なことから、文科省が選定した共同研究拠点と連携し、製薬企業からも参加を募ることにより、基礎研究から実用化研究まで一貫した研究体制を作ることにした。

今回、文科省は厚労省の難病研究班50程度を「神経」「循環器」「骨・軟骨・筋肉」「血液」の各疾患分野にまとめた上で、四つの共同研究拠点を選定。神経分野に理化学研究所と慶應義塾大学、循環器分野に大阪大学、骨・軟骨・筋肉分野に京都大学、血液分野に京都大学を決定した。

具体的な研究の進め方は、厚労省の難病研究班が患者から皮膚や血液等の体細胞を入手し、それを文科省の共同研究拠点に提供。それぞれの拠点機関は、疾患特異的iPS細胞の樹立や難病研究に必要な細胞への分化誘導を行い、難病研究班に細胞と技術を供与するというもの。

今回の事業は、難病研究班がiPS細胞を大量に調製する設備・技術を持っている大学等の共同研究拠点とタッグを組むことが大きな特徴だ。

難病研究班は、拠点機関からiPS細胞を作製する技術の提供を受けると共に、製薬企業とも連携しながら、疾患特異的iPS細胞から分化誘導された細胞を用いて創薬候補となる化合物のスクリーニングを進めていく。

iPS細胞の基礎研究から実用化研究まで一貫した研究体制を構築し、難病研究に強い厚労研究班と、iPS細胞の樹立や大量調製ノウハウを持つ拠点機関の相乗効果により、難病治療への応用が加速化することが期待されそうだ。

また、今回の難病研究に参加する製薬企業は、予め難病研究班と拠点機関と共同研究契約を結び、創薬に向けた基礎研究、アッセイ系確立のための研究を行うことになる。

今回の事業について、文科省は12年度から5カ年で実施する計画。厚労省は難病研究班の参加条件として、12年度に研究班活動を行っていることを挙げている。最終年度となる16年度までには、創薬候補となる化合物を発見し、共同研究の成功例を生み出したい考えだ。

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