■血液事業部会で了承
厚生労働省は、アルブミン等の血液製剤に用いる原料血漿の標準価格について、2013年度も5%引き下げる。1日の薬事・食品衛生審議会血液事業部会に提示し、了承された。需給計画に基づき、価格を設定する現行の仕組みで原料血漿価格を引き下げるのは、昨年に引き続き2年連続となる。
13年度の原料血漿価格は、凝固因子製剤用が昨年度標準価格より360円減の1L当たり1万0640円、その他の分画製剤用が330円減の9720円となる。
従来の原価計算方式に基づく価格では、凝固因子製剤用が1L当たり1万1190円、その他の分画製剤用が1万0230円と算出されたが、輸入製剤に比べて高い国内製剤のコストを下げるため、昨年度に引き続き13年度も原料血漿価格を5%引き下げることにした。
単純比較によると、米国の原料血漿価格の1L当たり1万0853円、フランスの成分由来原料血漿価格の1万2804円より安い。
■自給率低下傾向に危惧
ただ、血漿分画製剤の自給率の推移を見ると、13年度見込みでアルブミン製剤が58・3%と横ばい、遺伝子組み換え型を含む第VIII因子製剤の自給率見込みも18・2%と低いことが予測されており、この日の部会でも自給率の低迷に危機感を示す発言が相次いだ。
大平勝美委員(はばたき福祉事業団理事長)は、「アルブミン製剤などの自給率が上昇傾向にない。様々な形で向上するよう実現策を考えてもらいたい」と注文。岡田義昭委員(国立感染症研究所血液・安全性研究部第1室長)は、「原料血漿価格は日米でほとんど変わらないのに、なぜ製品価格で大きな差が出るのか」と日本のコスト高を問題視。「日本の製造コスト高を是正する体制を作らなければ、いつまでも輸入製剤に太刀打ちできない」と提起した。
嶋緑倫委員(奈良県立医科大学小児科教授)は、第VIII因子製剤の自給率低下に危機感を示し、「新たに作用の強い製剤が出てきており、さらに自給率が減るのではないか。そうした危険性を予知して、緊急に安定供給に向けた対策を取ってもらいたい」と訴えた。