森委員は、昨年9月にJACDSがまとめたネット販売報告書で、医療用医薬品からのスイッチが大半で薬剤師が直接書面で情報提供する義務がある第1類と、麻薬成分などを配合し、副作用報告の多い指定第2類は規制の対象とすることを説明。
第2類をネット販売する際の最低条件として、▽購入時に購入者と有資格者が電話やスカイプ(インターネット無料電話)で直接会話ができる状態にしておく▽添付文書の重要事項や“してはいけないこと”を口頭で注意喚起▽販売データと紐付ける形式で口頭での情報提供・相談応需の内容を録音・管理する――などを挙げ、こうした仕組みによって安全性の確保ができるとした。
ネット販売で対面販売と同等の安全性を確保するための自主ルールを検討している推進派からは、JACDSの情報提供の仕組みを用いた場合、「薬歴の管理や飲み合わせの確認ができる」など、前向きな意見が出た。
増山ゆかり委員(全国薬害被害者団体連絡協議会副代表世話人)は、薬歴などは個人情報として厳格に管理すべき情報である可能性を指摘し、「慎重に考えるべき」との考えを示した。
後藤玄利委員(日本オンラインドラッグ協会)は、ネット販売の新たなルール作りの進め方を、▽医薬品の特性など、前提条件を共有▽販売経路にかかわらず、副作用リスクを低減するための論点の洗い出し▽論点に対する安全性向上策の提示▽安全性向上策の妥当性を評価――の4段階で進めることを提案。
中川俊男委員(日本医師会副会長)は、最高裁判決では厚生労働省令の不備を指摘しているものの、「1類、2類をネット販売しても良いとは言っていない」とし、オンラインドラッグ協会の提案を「ネット販売を行うためのルール作りに見える」と非難した。
また、この日の会合に厚生労働省が提示したデータで、約8300品目ある第2類のうち、約2400品目が指定第2類で、2007~11年度の一般薬によるものと疑われる24の死亡例のうち、20例が第2類によるもので、そのうち15例が指定第2類だったことを示した。