1日1時間の運動で死亡リスクが半分に
厚生労働省の研究班は毎日30分以上の早歩きで糖尿病患者の死亡リスクが半分以下になるとした研究結果を発表した。
これは生活習慣が原因で発症する2型糖尿病の患者約1700人(40~70歳)を対象に糖尿病専門の医療機関59カ所で実施した大規模調査。日常生活や仕事以外で行っている運動についてヒアリングをした後、運動量が「多い」「中程度」「少ない」の3つのグループに分けた。それから8年間の追跡調査を行い、その間に患者がみまわれた心臓病、脳卒中の発症リスクと死亡リスクを調べた。
運動量が「多い」グループはウオーキングでは時速6キロ(早歩き)を1日平均70分、水泳では30~40分程度の運動をしていた。「少ない」グループは運動をほとんどしていなかった。調査の結果、「多い」グループは「少ない」グループに比べて死亡リスクが0.47倍、脳卒中の発症率は0.57倍だった。心臓病は統計的に大きな差がみられなかった。
運動指導を治療に
糖尿病が疑われるひとは予備軍を含めて2210万人、脳卒中や心臓病を合併症として発症する確率は健康なひとの2倍以上といわれている。
糖尿病治療において運動の効果が大きいことがわかった今回の調査結果を受けて、研究班の主任研究者の曽根博仁新潟大学教授は、栄養指導に比べて遅れている運動の指導に取り組むべきと指摘する。また運動には血糖値や血圧の改善に加えてストレス軽減の効果も考えられるとしている。(馬野鈴草)
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