厚生労働省は、厚生科学審議会科学技術部会「再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会」に、医師の監督・責任のもとでiPS細胞やES細胞などの培養や加工を、医療機関以外の業者に委託できるようにする案を示した。
再生医療・細胞治療の臨床研究や治療に用いるiPS細胞などの培養・加工は、医療機関同士でのみ委託が可能とされている。
今後、再生医療・細胞治療を実施する医療機関が増えることが予測される中、細胞培養加工施設の設置には、膨大なコストがかかるなどの課題もあり、厚労省は、安全性を確保するため、構造設備などハード面での施設基準に加え、培養・加工の手順や実施者の資質を確保するための規定を設けた上で、事前に施設基準を満たしていることを確認してから、細胞の培養・加工を医療機関以外の施設に委託できるようにする方向性を示した。
また、治療リスクの高さに応じて承認方法を3種類に分けて規制すると共に、違反した場合は罰則を科す考え方も示した。
治療実績がないiPS細胞やES細胞などは最もリスクが高いとして、再生医療技術や法律などに詳しい有識者で構成する第三者組織の「地域倫理審査委員会」(仮称)での審議を経て、厚労相の承認を義務づける。
体性幹細胞などを使う中程度のリスクの治療は地域倫理審査委員会で審議し、国に届け出るが大臣の承認は必要ない。リスクが低いとされる医療は医療機関内の倫理審査会で議論し、国への届け出を求める。
また、こうした手続きを経ずに治療などを実施した医療機関には、指導等必要な手続きを行った上で適切な罰則を科す仕組みを設ける方向性も示した。