厚生労働省は14日、「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会」の初会合を開き、ネット販売を行うための新たな仕組み作りの議論を開始した。1月に最高裁が第1類、第2類のネット販売を一律に禁止した厚労省の省令を無効とする判決を下したことを踏まえ、省令の改正にとどまらず、薬事法の改正も視野に検討を進める。今後、1カ月に2回のペースで議論を行い、数カ月かけて一定の方向性を出す。
田村憲久厚労相は冒頭、一般薬の販売について「利便性が叫ばれる一方で、情報提供、安全性の確保をしっかりとしてほしいとの声もある」とし、新ルールについて、「共通の認識を持つことが重要。検討会で一定の方向性を示していただきたい」とあいさつした。
会合では、河野康子委員(全国消費者団体連絡会事務局長)が、最高裁省令は無効と判断されたことで、一般薬のネット販売に規制がかかっていない状態が1カ月以上続いていることを不安視し、「ネット販売の利便性は否定しないが、医薬品は副作用リスクがある。どうしたら安全に利用できるかを考えなければならない」とした。
これに対し、後藤玄利委員(日本オンラインドラッグ協会)、國重惇史委員(新経済連盟顧問)らネット販売業者は、最高裁判決ではネット販売の一律禁止は憲法が保障する「職業活動の自由」の制約につながると判断している点を指摘し、「対面販売でなければならないというのではなく、職業活動の自由を害さずにどうしたらネット販売での安全を確保できるのかについて議論したい」と主張。
増山ゆかり委員(全国薬害被害者団体連絡協議会副代表世話人)は、最高裁判決では、一定の規制のもとで一般薬が販売されることを問題視していない点や、薬局が海外にあるケースでは安全性が確認できないなどの課題を挙げ、ネット販売に慎重な姿勢を示した。
森信委員(日本チェーンドラッグストア協会)は、「ネット販売ありきではない」としつつも「安全性が担保できる方法があるなら、必ずしも反対はしない」との考えを示した。
また、岩瀬大輔委員(ライフネット生命保険代表取締役副社長)は、議論がかみ合わなかった4年前の「医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」の反省を踏まえ、論点を絞って議論するよう求めた。