運動量が精子の数を左右する 米ハーバード大の研究
アメリカのハーバード公衆衛生大学院(Harvard School of Public Health HSPH)で行われた新しい研究によると、週に20時間以上テレビの前で過ごすことは有害となるが、15時間までにおさえ、運動を少しすれば精子の数は増加するということが分かった。ただ、詳しい原因についてはさらなる研究を要する。
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男子大学生約200名を対象に調査
研究は、ニューヨーク大学の189人の学生(18歳から22歳)を対象に行われた。
テストパーソンは通常の1週間の過ごし方について、特にスポーツにあてられる時間とTVを見る時間の記録をつけた。その後、彼らの精子を分析したところ、男性が長時間座る生活をすれば、精子の数に影響することがわかった。
最も活動的な男性は、週15時間以上サッカーや野球などの激しい運動をこなしていたが、その男性の精子の数は運動をあまりしない男性に比べて75%も多かった。
また、今回の研究の中で座って過ごす時間が最も長い男性は、少なくとも週20時間以上テレビを見ていたが、彼の精子の数は、運動量が少量の男性に比べて44%少なかった。
ちなみに、精子数が繁殖能力に満たないと判断されるほど低い数値は誰も出ておらず、精子の活動や形状にも、とくに影響はなかった。
運動量と比例するも、やりすぎは逆効果
運動量の少ない男性が精子も少ないという現象は、精子の性質と関係があると見ている。というのも、精子は涼しいところを好み、陰嚢が温まると精子の生産活動は止まってしまう。
ただ、運動が男性の生殖能力に必ずしも良い結果を出すとは限らず、スポーツによっては逆効果になることもある。例えば、身体にぴったりとした下着や服装での長時間のジョギングやサイクリングなどは、精子の減少の原因となる恐れがあるとも言われている。
また、男性が今までの生活習慣を変えて運動量を増やせばどうなるか、などの調査は進んでいないため、正確なデータを得るにはさらなる研究が必要だ。(西原 光)
▼外部リンク
ハーバード公衆衛生大学院(HSPH)
http://www.hsph.harvard.edu