アメリカでは緊急避妊薬は1999年から処方薬として使われてきましたが、2007年にOTCとして処方なしで使えるようになるまでには、様々な議論が繰り広げられました。特に若い世代へ性犯罪や性感染症の影響が心配されました。現状でも、購入に対して年齢制限がないことを心配している声もあります。
アメリカでは、緊急避妊薬による避妊をプランBと呼んでいます。性交後に、妊娠の成立を止める薬を飲むことで避妊を行う方法です。
日本でも様々な議論が寄せられていますが、現状ではOTCとしては手に入りません。処方薬としては使えるものの、価格が高く躊躇してしまう人もいるようです。
さて、アメリカでは緊急避妊薬のOTC化から、7年を経て、緊急避妊薬の使用状況の実際と、今後の課題を米疾病予防センターが発表しました。
緊急避妊薬がOTCとして扱われていなかった2002年では、使用は4%にとどまっていました。2007年のOTCの直前、2006年から2010年では、この値が11%まで伸びてきています。
緊急避妊薬を使った人の約6割は、使用は1度だけとしており、24%は2回、17%は3回以上と回答していました。
緊急避妊薬の使用を細かく調べると、教育レベルの低いヒスパニック系や有色人種の人たちで、使用が多いそうです。白人女性の多くは、使用に関して、特に心配だと思ったときに他の避妊方法を組み合わせていました。
経済的な状況や生活環境から、保健医療機関の受診をしにくい人たちでは、他の避妊方法は行っておらず、必要を感じたときに緊急避妊薬を使っているとしています。同様に、経済的に避妊に手が届かない女性もやむを得ず緊急避妊薬を使う傾向にあります。
こうした女性たちは、望まない妊娠の危険に身をさらされており、今後は教育と共に低所得層でも活用できるような政府単位での取り組みが必要になってくるとされています。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
米疾病予防センター(PDF)
http://www.cdc.gov/nchs/data/nsfg/
More U.S. women using the “morning-after” pill: report
http://www.reuters.com/article/2013/02/14/