治療を受けずに下肢切断にいたる
日本フットケア学会、日本下肢救済・足病学会、日本メドトロニックは末梢動脈疾患(PAD)から発症した足病変で適切な治療を受けないまま下肢切断にいたるケースを問題視して、下肢救済に関わる治療の実態を調査した。
対象は足病変のハイリスクをもつ透析患者4102人と下肢救済に関わる7診療科の医師575人。末梢動脈疾患(PAD)の疑いがある人は56.9%、末梢動脈疾患が重症化した重症下肢虚血(CLI)の疑いがある人は16.7%。CLIの疑いがある人の3割は医療機関に受診したことがなく、PADの疑いで受診した人の4人に1人(25.6%)はCLIが発症後に初めて受診している。
足病変ハイリスク患者に定期的にフットケアを行っている腎臓内科・糖尿病内科の医師はどちらも4割。CLIも要因となる潰瘍・壊疽に対して診断・治療アルゴリズムを設定している診療科は1割。他科と連携してPAD、CLIの集学的治療を行っているでは平均27.7%だった。
以上の結果から透析患者、糖尿病患者の足病変ハイリスク患者が適切な診断・治療を受けずに足切断にいたる実態が明らかになった。足病変の予防、早期発見と足切断の危機意識が必要とされる。
他科との連携が必要
日本下肢救済・足病学会は糖尿病性神経障害やPADによる足病変の増加、重症化から下肢切断する人が年間1万人の現状を懸念し、PADが糖尿病・透析のコントロールに加え多岐にわたる治療・リハビリを要するため、集学的治療が重要と考えている。
日本フットケア学会はPAD発症リスクが高い透析患者への足病変の予防、スクリーニング体制が不十分なこと、糖尿病以外の疾患の透析患者に足の健康管理の意識が低く、啓発が欠かせないことを指摘。腎臓内科、糖尿病内科がフットケアを実施し早期にリスクを評価するスクリーニング体制を整え、さらに他科との連携体制を構築すべきとしている。
フットケアは足の健康や足病変の予防、悪化防止のために行う。糖尿病の場合、知覚障害で靴ずれや傷、やけどに気づきにくく足病変の危険性が高く、傷の悪化から足腫瘍や足壊疽を起こす可能性が高いので特に大切なケアとなる。
▼外部リンク
日本フットケア学会
http://www.medtronic.co.jp/