自民、公明の両党は5日、与党政策責任者会議で「麻薬及び向精神薬取締法及び薬事法の一部を改正する法律案」を了承した。厚生労働省や都道府県の麻薬取締官(員)の職務や権限を拡大し、これまでの麻薬と覚醒剤などに加え、「指定薬物」を摘発する権限を与えることなどを柱とする。改正法案は、他の会派の合意を得た上で議員立法として今国会への提出を目指す。
■自公が改正法案を了承
これまで、薬事法に基づく指定薬物の取締権限は、警察にのみ与えられていたが、両党が合意した改正法案では、麻薬取締官の取締権限を拡大。指定薬物も捜査の対象にする権限を与え、違法ドラッグなどを取り締まることができるようにする。
また、麻薬取締官は、店舗に置いてある指定薬物と疑われる商品を検査・分析する際、任意による提出を求めていたが、試験に必要な最少分量に限って相手方の同意を得ずに商品を強制的に収去する権限も与える。業者などが商品の提供を拒んだ場合には50万円以下の罰金とすることも盛り込んでいる。
麻薬取締官の職務範囲や権限の拡大は、厚労省が今国会への提出を目指して検討している薬事法改正案にも盛り込まれている。
それでも議員立法での法案成立を目指す理由について両党は、内閣提出法案は薬事法の大規模な改正を行うため、相応の審議時間が見込まれると説明した。
また、厚労省は早ければ今月中にも、“違法ハーブ”などに含まれる成分を「指定薬物」として広範囲に規制する省令改正を行う見通しで、麻薬取締官への研修実施期間を考えると、早期の法律の制定が必要となる点も挙げている。