チャンスはそう多くない
国内外で行われる国際大会や、国際大会に派遣する日本代表を決める大会等で、選手の心身を守るために行われる「ドーピング検査」。多くの人にとって、国際大会に出場するチャンスはそう多くないだけに、「うっかり」でドーピング違反に問われることだけは避けたい。
(この写真はイメージです)
こうした中で、ドーピング防止の専門知識を持つ薬剤師の資格「スポーツファーマシスト」による株式会社アトラク(東京都新宿区、遠藤敦 代表取締役)がウェブ上で、医薬品に含まれる成分が、世界アンチドーピング機構(WADA)の国際禁止表に記載されている化合物を含むか否かをチェックするサービスを提供している。
金メダル剥奪の例も
大きなスポーツ大会で記憶に新しいのは、昨年のロンドンオリンピック。事前のチェックが厳しかったために競技後の違反はいつものオリンピックに比べて少なかったが、陸上女子砲丸投げで優勝したナドゼヤ・オスタプチュク(ベラルーシ)が筋肉増強剤のメテノロンの検出で失格になり、金メダルが剥奪された。
2009、2010年のレスリング世界選手権男子グレコローマン96キロ級代表の北村克哉は、故意ではなかったと主張したが「体づくりのために海外から数多くのサプリメント(健康補助食品)を購入し、服用していた」とし、ドーピング違反で2年間の資格停止処分。ロンドン五輪出場を棒に振った。
昨年11月に行われた重量挙げ全日本女子選抜選手権では、伊藤奈央から筋肉増強作用のある禁止物質「ノルアンドロステロン」などが検出され、5年間の資格停止処分という重い処分となった。伊藤は2011年に全日本選手権の女子48キロ級優勝の成績を取り消され、2か月間の資格停止処分を受けたが、その際は花粉症の治療のために医師の処方を受けた経口薬に禁止物質が含まれていたとされる。
医師が処方した薬でも
たまたま、医師から処方された薬を服用することでドーピング検査に引っかかり、選手生命が断たれることもあるため、こうした事態を避ける一助として、アトラクが、薬局ラクトファーマシーのホームページ内で公開している医療用医薬品ドーピングチェック(試用版)を活用したい。
使い方は簡単。検索欄に製品名、一般名、JANコードのいずれかを入力することで、禁止物質が含まれているか否かや、禁止物質が常に禁止される物質なのか、競技会時のみに禁止される物質なのかが分かる。禁止される投与経路、特定競技にのみ禁止される場合は、競技団体名が表示される。
アトラクはさらに、処方せんに記載された QR コードを読み込み、処方薬にドーピング禁止物質が含まれるかを判定するiPhone用アプリ「DopeZero」を2月5日から公開することを明らかにしている。
▼外部リンク
薬局ラクトファーマシー
http://lact.ph/doping/index.php