医師1000人に調査
株式会社ケアネットが2013年1月17〜18日、自社の医師会員1000人に対し、「ヒヤリ・ハット(医療事故には至らなかったが、場合によっては事故につながったかもしれないエピソード)とその報告」についてアンケート調査を行った。
(Wikiコモンズより引用)
過去1年間の「ヒヤリ・ハット」経験頻度について尋ねたところ、『週に一度』(5.7%)、『月に一度』(26.3%)を合わせて約3人に1人が月に一度以上「ヒヤリ・ハット」に遭遇していると回答。『半年に一度』は32.6%、『年に一度』は20.4%で、『なし』と答えた医師は14.4%だった。
『薬剤の処方・投与』で最も多い
どのような場面で「ヒヤリ・ハット」を経験したかを尋ねたところ(複数回答)、多い順に『薬剤の処方・投与』(56.3%)、『治療・処置』(36.2%)、『転倒・転落』(17.6%)、『検査』(9.8%)と続くが、「報告は形式的で成果が上がっていない。誤薬と転倒のみが表立っていて、もっと問題視すべき事象は表に出ないまま」「報告数を増やすため些細なものも報告している」などの声も挙がった。
約6割が報告しないことがある
ヒヤリ・ハットの報告の有無を尋ねたところ、全体の41.1%が『全て報告する』、45.0%が『報告しないことがある』、13.9%が『全く報告しない』と回答。
報告しない理由を尋ねたところ、全体の46.0%が『レポート作成等に手間がかかるため』、23.0%が『院内に報告の仕組みがないため』、19.4%が『報告しても事故防止に役立たないと思うため』、2.2%が『責任追及されるあるいは評価・懲罰に関わるため』、9.3%が『その他』と回答した。
しかしその内訳は勤務施設によって異なり、「報告義務医療機関」や「参加登録申請医療機関」(医療事故情報収集等事業の参加に希望する医療機関)ではない診療所・クリニック(19床以下)においては『報告の仕組みがない』が約6割に上った。
報告書は記名式、紙ベースが多い
ヒヤリ・ハット報告体制、および医療安全対策について尋ねたところ(複数回答)、38.6%が『スタッフ用医療安全マニュアルがある』、38.4%が『報告されたヒヤリ・ハットに関し定期的な会議にて検討・分析している』、36.8%が『医療安全に関わる研修・セミナーを実施している』、29.9%が『報告件数・内容などが集計され院内に発表される』と回答した。
実名を明かすか否かについては『報告は記名式である』は35.5%、『報告は匿名式である』は17.2%であった。
紙媒体か電子媒体かについては『電子化された報告システムを導入している』が32.3%、『報告書は紙ベースである』が44.9%であった。
▼外部リンク
株式会社ケアネット
http://www.carenet.co.jp/