■医療機関の返還額は約83億円
厚生労働省保険局は、2011年度の保険医療機関、保険薬局に対する指導・監査等の実施状況をまとめ、4薬局の保険指定を取り消したことを公表した。このうち、2薬局が「取消」の事例だが処分を出す前に廃業したり、自主的に登録を抹消するなどした保険指定取り消し相当となった。また、3人が保険薬剤師の登録取り消し処分を受けた。
厚労省は11年度、調剤報酬に絡む個別指導を1274薬局(薬剤師1836人)、新規指定個別指導を2205薬局(3052人)、集団的個別指導を3769薬局に実施。
監査の対象は16薬局(39人)で、保険指定を取り消されたのは、大阪府の「ハッピー薬局」(11年10月11日付)、福岡県の「大濠公園けんこう薬局」(11年4月1日付)の2薬局。指定取り消し相当は、09年4月に廃止している秋田県の「塩越調剤薬局」、08年4月廃止の福岡県の「大濠調剤薬局」の2薬局で、いずれも架空請求や付増請求などで処分されている。
また、医科と歯科を合わせると145施設、321人に監査を行い、指定取り消し相当を含めて41施設の指定と31人の登録を取り消した。指定取り消しは、前年度のほぼ倍で、登録取り消しも11人増えた。
不正内容は、架空請求や付増請求、振替請求、二重請求がほとんどを占めているが、施設基準に関する虚偽の届け出を行う医療機関もあった。取消のきっかけは、保険者や医療従事者、医療費通知に基づく被保険者からの情報提供が26件と半数以上を占めた。
医療機関からの返還総額は、82億9000万円(指導で20億8000万円、適時調査で55億8000万円、監査で6億4000万円)で、前年度より7億5000万円増えた。