病院外で心停止した場合の生存率
病院以外の場所で心停止した場合に、病院に到着する前に気道確保を行ったとしても転帰は向上するのか。これについてデータを分析した米Harvard大学医学部の長谷川耕平氏らは、病院に到着する前に高度な気道確保を行った患者は、神経学的に良好な状態で生存する確率は低いことを明らかにした。
今回日本で約65万人の院外心停止者のデータを分析した論文が、JAMA誌2013年1月16日号に掲載された。
著者らはこの問題について検証するために、日本の全国規模のレジストリから得た情報を分析した。 期間としては05年1月から10年12月までに病院以外の場所で心停止となった成人患者のなかで、救急隊員によって蘇生をされ、その後病院でウツタイン様式で情報が登録された64万9654人の情報を抽出した。
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高度な気道確保をしても生存率は低いという結果
評価の方法としては心停止した状態から1カ月目に、神経学的転帰が良好である状態の生存のみに設定した。半数がバッグ-バルブ-マスクを用いた人工呼吸を受け、それ以外の場合でも高度な気道確保が行われており気管挿管や、声門上気道確保器具の適用を受けていた。
その中で自発的に循環が再開した患者は全体の6.5%、1カ月後の生存患者は4.7%、神経学的転帰良好な状態での生存者は2.2%であった。 とくに神経学的転帰良好な状態で1カ月後に生存していた患者は、高度な気道確保ではなかったグループのほうが多かった。
他の条件としては年齢、性別、心停止の原因、初期リズム、目撃者の有無、居合わせた人が行った心肺蘇生の種類、公共の場に設置されたAEDの使用の有無、エピネフリン使用の有無、救急要請の電話から救急隊員による心肺蘇生開始までの時間、救急要請の電話から病院到着までの時間などがあった。これらの条件で抽出した患者の分析もそれぞれ行ったのだが、やはり高度な気道確保を行った方が生存率は低かった。
▼外部リンク
JAMA誌2013年1月16日号
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1557712