厚生労働省は1月31日、厚生科学審議会科学技術部会「再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会」に、治療のリスクに応じて医療機関側に厚生労働大臣の承認や、第三者で構成する審査委員会の審査を受けることを求めるなど、新たな規制の仕組みを導入する案を提示した。
再生医療をめぐっては、一部のクリニックなどが安全性や効果が明らかになっていない治療を自由診療として実施するケースが増えていると指摘されている。厚労省は論点整理で、医療のリスクの高さに応じて3段階に分類し、リスクの程度に応じた安全性確保の枠組みを示した。
iPS細胞などの臨床で使用されたことがない治療は、安全性の確保に特に注意が必要なリスクの高い医療として位置づけ、実施する際に厚労相の承認を求めることとしている。
体性幹細胞等を用いた医療のうち、一定程度の安全性が確立したと認められる中程度のリスクの治療については、厚労相の承認制とはせず、第三者の有識者による審査を受けた上で国に届け出ることを求めている。
安全性や倫理面での問題が比較的少なく、リスクが低い医療は、細胞を使用・調整する過程で品質が不均一となる可能性や、細菌、ウイルスが伝播する危険性もあるため、審査委員会の審査を受けるよう求める。
細胞の培養や加工を担う施設の基準・手順を定めるほか、医療機関や薬事法で許可された製造所でなくても、事前に施設基準を満たしていることが確認できれば、細胞培養・加工の実施を認める方向性も示している。