田村憲久厚生労働相は24日、専門紙記者団との就任会見で、医療費の伸びの要因について言及。高齢化の進展より医療技術の進歩の方が影響が大きいとの認識を示し、「どう対応していくかが大きな課題になる」と述べ、iPS細胞を用いた再生医療などの画期的な医療技術を、どの範囲まで保険で見るべきかについて問題意識を示した。また、新薬創出・適応外薬解消等加算の本格導入・恒久化については、適応外薬の開発状況と長期収載品の薬価の状況を踏まえながら検討する考えを示した。医薬品・医療機器業界団体の代表者と関係府省が意見交換する官民対話は「継続したい」と述べた。
田村厚労相は、かつての自公政権下で年間2200億円の削減を行った社会保障費の自然増を容認する考えを示す一方で、医療の効率化、適正化に取り組む必要性を指摘。
その上で、「例えば、医療の高度化、医療技術の発展などは、医療費の伸びの部分で高齢者増よりも伸びの割合が大きくなってきている」とし、「再生医療やオーダーメイド医療などが出てきた時にどう対応していくかという大きな課題がある」と述べた。
医療費の適正化に向けては、後発品の使用促進と共に、「生活習慣病の予防などをしっかりと進めていく中で、医療費の伸びを抑えていくということをやっていかなければならない」と予防医療に取り組むべきとの考えを示した。
新薬創出加算の恒久化をめぐっては、「長期収載品の薬価の高止まりの話がある一方で、画期的な新薬をどんどん作ってもらいたいというわれわれの思いもある。適応外薬(の開発)にも興味を持っていただかないと、どうしようもないところもある」とし、「業界のみなさんと相談しながら、検討したい」と述べるにとどめた。
医療機関に対する消費税の課税問題についても言及した。2014年4月に予定されている8%への引き上げの対応に関しては、自民党の税制調査会と意見調整を踏まえつつ対策を講じる考えを示すと共に、「それだけではフォローできない部分もある。診療報酬改定が重なってくるので、その状況を見ながら対応していくという話になると思う」と述べた。
ただ、15年10月の10%への対応については、「あまりに消費税の負担が重くのしかかり、医療機関が存続不可能という状況になっては大変」とし、欧州などの先進事例を調査しつつ、医療界とも相談しながら、「どういう形がいいのか慎重に検討したい」との考えを示した。