難病対策見直しの柱として、治療法開発と医療の質向上、公平で安定的な医療費助成の仕組み構築などを位置づけた。難病研究の推進では、研究分野の区分けを見直し、新たな枠組みとして4分野を規定した。診断基準が確立されていない疾患の「領域別基盤研究分野(仮)」、診断基準が確立された疾患の病因・病態解明等を行う「領域別臨床研究分野(仮)」、医師主導治験で創薬等の治療法開発を目指す「実用化研究分野(仮)」、ゲノム解析研究等を行う「横断研究分野(仮)」とした。
これら難病研究は、関係各府省が一体となって戦略的に推進すると明記。新たな治療法開発に向け、再生医療技術を活用することや希少疾病薬の研究開発を進めるため国の取り組みを強化し、難病に関する臨床研究・治験をさらに推進することを盛り込んだ。
また、医療体制を整備するため、難病に対応できる高い専門性を持つ「新・難病医療拠点病院(総合型)(仮)」を、都道府県が3次医療圏ごとに原則1カ所以上指定することを明記した。他分野の「難病指定医(仮)」や複数の「難病医療コーディネーター(仮)」を配置し、重病患者を診察するため必要な設備や診療体制を整備すること等を役割として定めた。
特に、極めて希少な疾患への対応については、国立高度専門医療研究センターと学会等が連携し、「難病医療支援ネットワーク(仮)」を形成する構図を提示し、指定医が行う診断や治療の支援、助言を行うとした。
一方、医療費助成の考え方は、治療研究を推進する目的に加え、経済的負担が大きい患者を支援する福祉的な目的を併せ持つものと位置づけ、公平で安定的な仕組みとなるよう法制化を検討するとした。
その対象疾患としては、▽患者数が少ない▽原因不明▽治療方法が未確立▽生活面の長期支障――の4要素を満たし、客観的な指標がある疾患などの条件を示した。
この日の委員会では、提言の速やかな法制化を求める意見が相次ぎ、取りまとめを受けあいさつした厚労省の矢島鉄也健康局長も「法制化に向けて関係各方面と調整し、難病対策の抜本的な改革をスピード感を持って進めていかなければいけないと考えている」と応じ、迅速な法案提出に意欲を示した。