医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > プレミアム > 厚生労働省、新難病対策で提言を了承―法案提出に着手へ

厚生労働省、新難病対策で提言を了承―法案提出に着手へ

読了時間:約 1分44秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2013年01月28日 AM10:18

厚生科学審議会疾病対策部会の難病対策委員会は25日、医療費助成の対象疾患を現行の56から大幅に拡大するなど、難病対策を抜本的に見直す提言をまとめ、大筋で了承した。これを受け、厚生労働省は国会への法案提出に向けた作業を加速させる。

提言をまとめた難病対策委員会

難病対策見直しの柱として、治療法開発と医療の質向上、公平で安定的な医療費助成の仕組み構築などを位置づけた。難病研究の推進では、研究分野の区分けを見直し、新たな枠組みとして4分野を規定した。診断基準が確立されていない疾患の「領域別基盤研究分野(仮)」、診断基準が確立された疾患の病因・病態解明等を行う「領域別臨床研究分野(仮)」、医師主導治験で創薬等の治療法開発を目指す「実用化研究分野(仮)」、ゲノム解析研究等を行う「横断研究分野(仮)」とした。

これら難病研究は、関係各府省が一体となって戦略的に推進すると明記。新たな治療法開発に向け、再生医療技術を活用することや希少疾病薬の研究開発を進めるため国の取り組みを強化し、難病に関する臨床研究・治験をさらに推進することを盛り込んだ。

また、医療体制を整備するため、難病に対応できる高い専門性を持つ「新・難病医療拠点病院(総合型)(仮)」を、都道府県が3次医療圏ごとに原則1カ所以上指定することを明記した。他分野の「難病指定医(仮)」や複数の「難病医療コーディネーター(仮)」を配置し、重病患者を診察するため必要な設備や診療体制を整備すること等を役割として定めた。

特に、極めて希少な疾患への対応については、国立高度専門医療研究センターと学会等が連携し、「難病医療支援ネットワーク(仮)」を形成する構図を提示し、指定医が行う診断や治療の支援、助言を行うとした。

一方、医療費助成の考え方は、治療研究を推進する目的に加え、経済的負担が大きい患者を支援する福祉的な目的を併せ持つものと位置づけ、公平で安定的な仕組みとなるよう法制化を検討するとした。

その対象疾患としては、▽患者数が少ない▽原因不明▽治療方法が未確立▽生活面の長期支障――の4要素を満たし、客観的な指標がある疾患などの条件を示した。

この日の委員会では、提言の速やかな法制化を求める意見が相次ぎ、取りまとめを受けあいさつした厚労省の矢島鉄也健康局長も「法制化に向けて関係各方面と調整し、難病対策の抜本的な改革をスピード感を持って進めていかなければいけないと考えている」と応じ、迅速な法案提出に意欲を示した。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 プレミアム 行政・経営

  • 【厚労省】フェンタニル適正発注を-出荷制限で供給不安受け
  • 【日薬】「クレーム対応保険」開始-カスハラの弁護士費用補償
  • 【政府】要指導薬の遠隔販売検討-規制改革会議が中間答申
  • 【文科省25年度予算案】創薬人材養成に1800万円-年度内には1大学選定へ
  • 【厚労省】電子処方箋、発行再開を延期-医療機関の点検完了せず